東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年を延長した2020年の閣議決定をめぐり、神戸学院大の上脇博之(ひろし)教授が関連文書を不開示とした国の決定を取り消すよう求めた訴訟の判決で、大阪地裁は27日、不開示決定の一部を取り消した。徳地淳裁判長は判決理由で、「定年延長に関する法解釈の変更は黒川氏のためと考えざるを得ない」と指摘した。

 検察官の定年は検察庁法で「63歳」と定められていたが、当時の安倍晋三政権が黒川氏の定年を目前にした20年1月、国家公務員法の延長規定を検察官として初めて適用した。この規定は独立性が求められる「検察官に適用しない」とされてきたが、政府は「解釈を変更した」と説明した。

 上脇教授が「黒川氏のための定年延長」を決めた経緯がわかる文書の開示を求めたところ、法務省は大部分を「該当文書なし」と不開示にした。裁判で国側は、解釈変更の経緯を示す文書は存在するが、上脇教授が請求する文書は存在しないと主張した。