「殺人容疑を晴らすために資金調査が必要」――。福岡県警南署は28日、福岡市南区の教員女性(68)が、今年4月から6月にかけ、警察官を名乗る男らから計7450万円をだまし取られたニセ電話詐欺被害に遭ったと発表した。

 署によると、女性は4月15日午後1時ごろ、自宅の固定電話に警察官や検察官などを名乗る男3人から連絡があった。男らは交代しながら電話口で「あなたに殺人の容疑がかかっている」「殺人現場にあなた名義の通帳が落ちていた」「容疑を晴らすために口座に入っている資金の調査が必要だ」「現金は調査後に返却する」などと伝えた。

 女性はその後、警察官を名乗る男と携帯電話で連絡を取り、男が指定する口座に10回にわたり計4450万円を振り込んだ。

 男はさらに、女性の口座をインターネットバンキングとして利用できるように手続きを済ませ、女性に暗証番号が記載された利用カードをスマートフォンで撮影して送信するように要求。女性が応えると、この口座から3回にわたり計3千万円を勝手に振り込み送金されたという。

 女性は今月20日夕方ごろまで男らとやりとりをしたが、その後、連絡がとれなくなり、被害届を出した。(大下美倫)