岸田文雄首相は29日、山梨県の製造業や農業の現場を視察し、通常国会閉会後の地方行脚をスタートさせた。自民党派閥の裏金事件で支持率の低迷が続き、秋の党総裁選に向けた「ポスト岸田」の動きが活発化。首相は政権の取り組みをアピールし、弱点とされる地方票の取り込みを狙う。

 首相は視察後、記者団に「あらゆる政策を総動員し、特に地方の中堅・中小企業の成長を後押ししていきたい」と、地方重視の姿勢を強調。デジタルや人工知能(AI)を活用する「スマート農業」向けの新たな支援措置を検討する考えも示した。自民党の地方組織から退陣を求める声があることについては「厳粛にしっかりと受け止めなければならない。これからも地方の声、現場の声を丁寧に聞いていく」と語った。