沖縄県で相次いだ米兵による性暴力事件をめぐり、玉城デニー知事は3日、外務省などを訪れ、事件について抗議した。面会した上川陽子外相は、事件の情報が政府から県に伝えられなかったことについて「地元自治体への情報共有のあり方はしっかり検討したい」と対応の改善を検討する考えを示した。

 玉城氏は「卑劣な犯罪は、女性の人権や尊厳をないがしろにする重大かつ悪質なもの。断じて許すことはできない」などと抗議。再発防止策などを求めた。県に連絡がなかったことについても「何ら対応をとることができなかったことは、極めて大きな問題」と訴えた。

 玉城氏は鬼木誠防衛副大臣や栗生俊一官房副長官とも面会し、同様に抗議と要請をした。

 沖縄では、米軍嘉手納基地(沖縄市など)所属の空軍兵(25)が16歳未満の少女に対する不同意性交などの罪で、在沖米海兵隊員(21)が女性に対する不同意性交致傷罪で起訴されていたことが次々と発覚。県警や那覇地検はいずれも「被害者のプライバシー保護」を理由に事件を公表しておらず、外務省は情報を把握して駐日米大使に抗議したものの、県には伝えていなかった。

 また、林芳正官房長官は3日の会見で、昨年以降、発表されていない米軍関係の不同意性交などの事件が他に3件あったことを明らかにした。いずれも不起訴処分になったという。林氏は「米軍関係者による性犯罪が発生していることは極めて遺憾だ。地元のみなさまに大きな不安を与えるものであり、米側に対し、さまざまな機会に事件、事故の防止の徹底を求めていく」と述べた。(小野太郎、松山紫乃、笹川翔平)