南太平洋のソロモン諸島で、次期首相の有力候補の一人とされる野党・統一党のケニロレア党首が18日、「政権を取ったら、(2022年に結んだ)中国との安全保障協定を破棄する」と宣言した。現政権の親中政策からの転換を図る意向だ。17日に総選挙の投票があり、開票が進む中、AFP通信の取材に答えた。

 台湾や南シナ海をめぐって緊張を高める米中は、補給などの要衝となる太平洋島嶼(とうしょ)国との関係強化を競ってきた。中でもソロモン諸島のソガバレ現政権は「中国寄り」の姿勢が目立っている。

 発足直後の19年に台湾と断交して中国と国交を樹立し、経済援助を引き出した。さらに22年に安保協定、23年に警察協力協定を結んだ。これに対し、警戒を強める米国は23年に首都ホニアラに30年ぶりに大使館を開設。ソロモン諸島が「陣取り」の舞台となっている。

 ケニロレア氏はAFPのインタビューで、中国との安保協定について「ソロモン諸島にとって有益だとは思わない」と述べた。また、「我々に天敵はいない」「この地域でいたずらに緊張を高めることは、地政学的に見ても必要なことではない」と話し、大国間の競争の渦中に置かれていることに懸念を示した。