パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐるイスラエルとイスラム組織ハマスの交渉が続くなか、ブリンケン米国務長官は1日、イスラエルでネタニヤフ首相らと会談し、ガザ最南部ラファへの侵攻に反対する考えを改めて示した。

 イスラエル首相府によると、ブリンケン氏はヘルツォグ大統領との会談に際し、「停戦を今すぐ実現させたいと強く望む」と主張。「それ(停戦)が実現しない唯一の理由は、ハマスによるものだ。(決断は)遅れることも、言い訳することもなしだ」と語った。

 ロイター通信によると、ハマス幹部は提案について交渉中としたうえで、ブリンケン氏の発言はパレスチナ側に圧力をかけ、イスラエルを無罪放免にするものだ、と批判したという。

■WHO「ラファ侵攻は大惨事」

 一方、ネタニヤフ氏が「交渉が成立してもしなくても、我々は完全勝利を達成するためにラファに入り、ハマスの大隊を排除する」と述べ、ラファ侵攻に強硬姿勢を示した後、国際社会から懸念の声があがっている。国連のグテーレス事務総長は4月30日、「イスラエルに影響力を持つすべての者が作戦阻止へ全力を尽くすよう訴える」と述べた。

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長はSNSで「ラファへの全面侵攻は人道的な大惨事となるだろう」と訴えた。米国務省のパテル副報道官は30日の会見で、ラファ侵攻の懸念を払拭(ふっしょく)できるような計画は見ていないとしたうえで、改めてイスラエル側に自制を求めた。

 交渉中もイスラエル軍の攻撃は続く。ガザ保健省は1日、過去24時間で33人が死亡したと発表。昨年10月の戦闘開始からの死者数は3万4568人となった。(今泉奏、ニューヨーク=遠田寛生)