中国電力が山口県上関町に建設を計画している使用済み核燃料の中間貯蔵施設をめぐり、町周辺の住民の意識を探ろうと「上関の中間貯蔵施設を考える周防住民の会」が賛否を問うシール投票を行っている。田布施町と周防大島町で実施し、いずれも「反対」の意見が多かった。

 同会は柳井市や周防大島町などの住民ら20人でつくるグループ。井上重久代表(57)は上関町に近い柳井市の離島、平郡島に住む。島の連合自治会は昨年8月、「100%の安全が担保されない限り建設許可を出さないよう知事に要望する」ことなどを市長に求めており、島内は「反対がほとんど」と井上代表は言う。一方で「本土」の市民らとは温度差があるように感じていた。

 そこで、柳井市民を含めた上関町の周辺市町の住民の声を直接聞こうとシール投票を思い立った。初回は3月16日に田布施町の公園で245人に投票してもらった。賛成13人、反対198人、棄権・わからないが34人で、反対が8割に上った。

 2度目は今月8日、午前8時半から午後4時ごろにかけて、周防大島町役場近くの2カ所で実施した。170人が投票し、賛成5人、反対118人、棄権・わからないが47人で、約7割が反対だった。投票と合わせた自由記述のアンケートで、反対の理由として「将来子どもたちが住めないようになったら困る」という意見などがあった。

 他の市町でもシール投票を行う予定だが、「微妙な問題なので」「政治的なことは遠慮してほしい」と施設の所有者から難色を示されることが多いという。

 井上代表は「反対が多く、心強い。住民の声を集めて行政に働きかけていきたい」と話している。(鈴木史)