歌舞伎作者、鶴屋南北の名作「東海道四谷怪談」が6月、福岡市の博多座で22年ぶりに上演される。夫婦役で出演する尾上松也さんと尾上右近さんが取材に応じ、意気込みや、25周年を迎える博多座の思い出を語った。

 「四谷怪談」は「六月博多座大歌舞伎」の演目の一つ。欲望に任せて悪事を働く伊右衛門と妻・お岩の愛憎劇で、お岩は毒薬を飲まされ顔が醜く変貌(へんぼう)し、死後は幽霊となって復讐(ふくしゅう)に燃える。

 伊右衛門を演じる松也さんは「お岩さんを引き立てるために重要な役どころ。人としての魅力を出したい」。右近さんはお岩を含めて3役を演じる。祖先の三代目尾上菊五郎が演じ、大ヒットしたことに縁を感じている。「何としても当たり役にして、見えない縁に恩を返せるようにしたい」と語った。

 博多座は1999年6月に開場し、今年で25周年。松也さんと右近さんは「下積み」のころから何度も出演し、近くの海辺で「何かやりたい。変えていきたい」と語り合ったこともあるという。

 松也さんは「初めての地方公演は博多座で、すごくワクワクしたのを覚えている。毎日ラーメンを食べ、1カ月で10キロ太った」と振り返る。

 公演は6月2〜17日。「四谷怪談」のほか、悲運の将軍を描く「修禅寺物語」、浮気者の夫を描く「身替座禅」なども上演される。チケットは博多座電話予約センター(092・263・5555)で今月20日から発売される。(松本江里加)