長野市で今月上旬にあった降雨で、しなの鉄道の路線の一部のり面が流出する被害が出たとして、国の独立行政法人「鉄道・運輸機構」(JRTT、横浜市)は22日、同機構の「鉄道災害調査隊」を現場に派遣した。

 しなの鉄道によると、4月初旬の雨の影響で、北しなの線の豊野駅―牟礼(むれ)駅間の一部で、のり面の土砂が幅6・7メートル、縦4・7メートルにわたって流出した。線路から5メートルほど離れているため運行に問題はなかったが、同社が国土交通省に調査を依頼していた。

 同調査隊は、自然災害などで被災した鉄道施設などの早期復旧を支援するため、昨年4月にJRTT内に創設された、土木技術者などによる専門組織。この日の調査は午後1時から午後3時過ぎまであり、調査員たちは土をハンマーでたたいて状態を確認したり、周辺に影響がないかを調べたりした。

 調査の結果、被害は軽微だと分かった。4月末までは土のうを積んで被害拡大を防ぎつつ、同社と復旧計画を検討していく。

 調査隊は今年1月に発生した能登半島地震では、被災した第三セクター「のと鉄道」の調査も担っている。大中英次隊長は「全国各地で災害が激甚化するなか、地方の在来線では技術者が不足してきている。調査隊の活動を知ってもらい、災害が起きた際は鉄道事業者とともに復旧計画を考える支援をしていきたい」と話した。(遠藤和希)