鳥取県倉吉市の精神科病院「倉吉病院」で25日、春の定期演奏会としてバイオリン・ビオラのコンサートがあった。院内のカフェを会場に、入院患者や外来患者、デイケア利用者、病院職員ら約80人が美しい音色に耳を傾けた。

 ともすればハードルが高くなりがちな精神科への通院をもっと気楽なものに、との願いを込め病院が企画。会場のカフェは昨年リニューアルし、地域住民も気軽に入ってもらえるスペースとしている。

 演奏したのは鳥取県米子市在住のバイオリン・ビオラ奏者、眞家(しんか)利恵さん(53)。パッヘルベルのカノン、シューマンのトロイメライなどなじみのある5曲を約30分間披露した。演奏が始まると音を聞きつけた人たちも徐々に集まり、廊下に人があふれるほどだった。

 眞家さんは倉吉病院での演奏前には、隣接する藤井政雄記念病院緩和ケア病棟でも約40人を前に同じ曲を披露。2カ所での演奏を終え、「病院でのコンサートはライフワークとして取り組んでいきたいです」と話した。

 倉吉病院の入澤孝好事務部長は「地域に開かれた病院を目指す。ちょっと気持ちが落ち込んだり眠れなくなったりしたら気軽に来院して欲しい」。今後も演奏会を開催していくという。(奥平真也)