「広域的に過去に例のない危険な暑さ」が予測される際に環境省が発表する「熱中症特別警戒アラート」の運用が24日、始まった。毎夏、全国有数の猛暑地となる栃木県佐野市は、冷房を備えた施設「クーリングシェルター」(指定暑熱避難施設)を市内32カ所に設置した。「暑い佐野」を考慮し、特別警戒アラートの発表の有無に関わらず、常時開放する。

 「クーリングシェルター」は、自治体が冷房を備えた公共施設などを事前に指定する避難施設。4月1日の「改正気候変動適応法」の施行で、自治体は特別警戒アラートが出れば、指定した施設の開放が求められる。特別警戒アラートは都道府県内の全域で暑さ指数が35以上と予測される場合、前日に発表される。いずれかの地点で33以上になった場合に発表される「熱中症警戒アラート」より一段高い呼びかけになる。

 佐野市では2022年7月に県内で観測史上最高の39・9度を記録し、昨年も7月下旬にその日の全国3位タイの39・4度を観測した。隣接する群馬県館林市など周辺地域は毎年、厳しい暑さに見舞われる。

 佐野市は今回、シェルターに市庁舎や行政センター、公民館、図書館など公共施設32カ所を指定した。対象期間の10月23日まで開放する計画だ。

 常時開放するのは、特別警戒アラートの発表の有無が佐野市の暑さと必ずしもマッチしないため。アラートは、佐野市を含めた県内の14観測地点すべてで暑さ指数が35以上の場合に発表されるため、佐野市だけ35以上になっても発表はない仕組みなのだ。

 市の担当者は「県北とは気温差があり、佐野がかなり高い時もある。そういう状況を考慮し、常時開放を決めた」。

 市は昨年も暑さ対策のため、「熱中症予防のための涼み処」の名称で32カ所の施設を用意した。今年はクーリングシェルターに名を変え、市民への周知が一つの課題となる。担当者は「クーリングシェルターの存在を多くの人に知ってもらい、暑さ対策の理解を深めていければ」と話している。(上嶋紀雄)