水俣病の公式確認68年を前にした4月30日夜、患者団体が熊本県水俣市公民館で集会を開いた。「ノーモア・ミナマタ2次訴訟」の弁護士2人が同訴訟の各地の判決について報告した。

 訴訟は、水俣病被害者救済法(特措法)の救済から漏れた人たちが償いを求めて全国4カ所で係争中。昨年9月の大阪地裁では原告128人が全員勝訴、今年3月の熊本地裁では144人全員の請求が棄却された。4月の新潟地裁では45人のうち26人が水俣病と認められ、判断が分かれた。

 水俣病と認定されない人たちは、民間医師の共通診断書を根拠として被害を訴えている。大阪地裁は共通診断書の信用性を認めたが、熊本地裁は認めず、大きく判断が分かれる原因となった。

 熊本訴訟弁護団の中島潤史弁護士は、熊本判決を「証拠の検討が不十分」と批判する一方で、「(提訴するのが遅いという)『除斥』で棄却された25人は、水俣病の被害者であることは認められ、一定の意義はある」と話した。新潟訴訟弁護団の味岡申宰弁護士も「特措法で救済されなかった人が水俣病と認められた。特措法の運用の誤りを明らかにした」と新潟の判決を評価し、新たな救済制度を国に求めていくことが必要だと述べた。(今村建二)