長野県は火山防災の専門職「火山対策総合アドバイザー」を新設し、気象庁地震火山部長などを務めた土井恵治さん(63)に4月1日付で委嘱した。県への助言や、国の火山本部や学識者らと自治体を橋渡しする役割を担う。

 土井さんは京大大学院修了。気象庁に入り、有珠山や三宅島の噴火(2000年)、御嶽山噴火(14年)などで、監視の強化や火山活動の見通しを示す業務などに携わった。現在は土佐清水ジオパーク推進協議会(高知県)の事務局長を務める。県では非常勤の特別職として月5日ほど勤務する予定。

 今月中旬に県庁で記者会見した土井さんは「火山活動の見通しや評価は専門性が高く、県や地元のみなさまに分かりやすく伝わっているかというと難がある。行政、地元との橋渡しをする」と語った。

 また、火山活動の多くは静かなもので、美しい景色や温泉などの恵みをもたらしてきたと説明。「火山の豊かさ、恵みとリスクとのバランスをうまくとっていくことが大事。火山を日常的に楽しむなかで、どういうリスクがあるか思い出すことが、火山と共生していくうえで大事」と語った。

 9月で発生から10年を迎える御嶽山の噴火災害をふまえ、県は火山防災の取り組みを強化している。文部科学省は今月、火山学者や防災の専門家、気象庁などでつくる「火山調査研究推進本部」(火山本部)を設けた。連携し、防災対策や避難計画づくりに生かしていく。(高木文子)