エステバン・オコンは、F1モナコGPの1周目に、チームの事前の指示を無視し、チームメイトのピエール・ガスリーに衝突するというインシデントを起こし、代表ブルーノ・ファミンを激怒させたが、そのわずか2週間後のカナダGPでも、チームに逆らった。決勝終盤に、ダニエル・リカルド(RB)にアタックするためにガスリーを前に出すようにとのチームの指示に抵抗し続け、その結果、ガスリーはリカルドを追うチャンスを失ったのだ。

 オコンは、最終的にチームオーダーに従ったとして、自分はチームプレイヤーであると主張している。しかし、実際どういう状況だったかを注意深く見直してみよう。残り4周というところで、リカルドに抜かれた後、オコンはチームの指示に従うことを1周以上にわたって拒み続けた。その間にリカルドは逃げてしまい、ガスリーは1.5秒ロスした上に、チャレンジするための時間がファイナルラップ1周のみになってしまった。

 モナコ決勝前のオコンの言動についても明らかになってきている。オコンは11番グリッド、ガスリーは10番グリッドからのスタートだった。レース前のミーティングで、チームはオコンに対し、ハードタイヤで序盤は比較的控えめなペースで走り、ガスリーのために後続を抑えるよう指示した。ある関係者の話によると、オコンはその指示を聞いて激怒し、従うつもりはないと示唆して、ミーティングが終わる前に立ち去ったという。

 その後、グリッド上でファミン代表がオコンに対して再度戦略について確認したところ、オコンはまたしても「指示に従うつもりはない」と率直に答え、実際にコース上でそれが本気だったことを証明した。

 モナコとカナダの間に、アルピーヌはオコンが2024年末でチームを離れると発表した。しかしカナダでもオコンがチームに反抗したことで、彼が現契約が終了する2024年の最後まで残れるのかどうかも定かではなくなってきている。

 カナダGP以前から、アルピーヌの法務チームは、オコンをシーズン途中で解雇することが可能かどうか、契約を注意深くチェックし始めた。2戦連続で問題が起きたことで、契約上可能であれば、オコンを外したいという気持ちが、ファミン代表のなかで高まっているのではないだろうか。

 法務部からゴーサインが出れば、ファミン代表はオコンを解雇し、リザーブドライバーのジャック・ドゥーハンにF1デビューの機会を与えることができる。そうすれば、アルピーヌは、ドゥーハンに2025年にフルシーズン参戦するに値するポテンシャルがあるかどうかを評価した後で、来シーズンのレギュラードライバーについての判断を下すことが可能になる。

 一方、アルピーヌは、ガスリーについては、来季以降の複数年契約を結ぶ可能性が高いとみられている。