広島の絶対的守護神として君臨している栗林

 驚異的な0.61――。7月1日現在、32試合に登板した栗林良吏の防御率だ。21セーブは中日・マルティネスに3差のリーグ2位。2年ぶり3度目のオールスター出場にも、文句なしの成績を残している。

「やっぱり選ばれた人しか出られないところ」という夢舞台。1年目の2021年から監督推薦で2年連続選出された。直球勝負を宣言して臨んだオールスター初登板は、同点の8回に楽天・島内宏明に決勝打。「1年目はあまりいい思い出ではないですけど、1年目も2年目もランナーコーチをしたり、他球団の選手とキャッチボールしたり。普段できないことができるのもオールスター」と存分に雰囲気は味わった。

 1年前は今とはまったく違った状況にあった。開幕直後の不調と故障も重なり、矢崎拓也に守護神を譲ることに。二軍調整を経て交流戦中に一軍復帰後も、しばらくはセットアッパーの役割を担っていた。今季は一切の不安を感じさせない好投の連続で、リーグ首位を走るチームの白星を締めくくってきた。

 大きな節目も迎えた。5月26日のDeNA戦(横浜)で通算100セーブを達成。日本人最速の更新こそ逃したが、178試合目での到達は2008年の馬原孝浩(ソフトバンク)に並ぶタイ記録。球団では中崎翔太以来5人目の大台だった。

「100回勝ったのは、うれしい」

 記録以上に自分が締めくくった勝利の数をかみ締めた右腕。夢舞台でもファンを沸かせる投球を見せる。

写真=BBM