2024年の公式戦が開幕する。セ・リーグは球団史上初のリーグ連覇を目指す阪神を、どの球団が阻止するか。2年連続BクラスからのV奪回を目指す巨人、積極的な補強を敢行した中日……。新加入選手を含め、首脳陣がどのように打線を組み立てるか注目される。各球団には替えが利かない重要な選手がいる。彼らの活躍がチームの命運を握ると言っても過言ではない。

阪神タイガース



阪神・佐藤輝明

●佐藤輝明(阪神)
※昨季成績132試合出場、打率.263、24本塁打、92打点、7盗塁
※通算成績401試合出場、打率.256、68本塁打、240打点、24盗塁

 近本光司、中野拓夢、大山悠輔らと共に主力としてチームを引っ張る存在だが、まだまだ完成形ではない。昨年は左打者でNPB初の新人から3年連続20本塁打をマークしたが、好不調の波が激しい。月間打率が6、7月は1割台で、8、9月は3割を超えた。夏場以降の打撃をコンスタントに見せられれば、「打率3割、40本塁打」に手が届く。打撃タイトル争いにも絡み、リーグ連覇にグッと近づくだろう。

広島東洋カープ



広島・小園海斗

●小園海斗(広島)
※昨季成績80試合出場、打率.286、6本塁打、31打点、8盗塁
※通算成績381試合出場、打率.272、22本塁打、120打点、15盗塁

 攻走守3拍子そろった遊撃手。プロ6年目の今季は不動の主力として試合に出続けてもらわなければ困る選手だ。昨年は春先の打撃不振で4月下旬から2カ月以上ファーム暮らしだった。7月に一軍昇格以降は打撃の状態が上向き、クリーンアップの三番を担った。スピード感あふれるプレーで、コンタクト能力が高い。「打率3割、20盗塁」は決して高い数字には思えない。攻守の中心選手として期待値が高い。

横浜DeNAベイスターズ



DeNA・度会隆輝

●度会隆輝(DeNA)
※新加入選手

「社会人No.1野手」の評価を引っさげ、オープン戦では打率.434と新人で史上2人目の首位打者に。どんな球もヒットゾーンに運ぶセンスは天才的だ。DeNAは一番が固定できなかったのがV逸の要因になっていた。度会が「一番・右翼」でピースにハマれば、オースティン、佐野恵太、牧秀悟、宮崎敏郎とポイントゲッターでかえす強力打線が完成する。明るいキャラクターで物おじしない性格はプロ向き。DeNAに新しい風を吹き込む。

読売ジャイアンツ



巨人・坂本勇人

●坂本勇人(巨人)
※昨季成績116試合出場、打率.288、22本塁打、60打点、2盗塁
※通算成績2101試合出場、打率.291、288本塁打、1004打点、162盗塁

 昨年のシーズン終盤に三塁にコンバート。守備の負担が軽減されたことは打撃に好影響を与えるだろう。近年は故障で離脱する時期があり、坂本不在の期間にチームが失速するケースが目立った。35歳とベテランの域に入ったが、力の衰えはまだまだ見られない。試合に出続けるコンディションをキープすれば、おのずと数字はついてくるだろう。不動の四番・岡本和真の後を打つ五番として責任は重いが、今年もチームを象徴する存在だ。

東京ヤクルトスワローズ



ヤクルト・村上宗隆

●村上宗隆(ヤクルト)
※昨季成績140 試合出場、打率.256、31本塁打、84打点、5盗塁
※通算成績693試合出場、打率.276、191本塁打、514打点、45盗塁

 昨年は春先の打撃不振が響いた。31本塁打をマークしたのはさすがだが、本人に満足感はないだろう。リーグ3連覇を目指したチームも5位と沈んだ。村上が打たなければ、チームも勢いに乗れない。22年は56本塁打の日本選手記録を樹立し、令和初の三冠王に輝いてMVPを受賞した。求められる水準が高いが、超一流の打者になるための宿命と言える。自身2度目の三冠王を達成できるか。

中日ドラゴンズ



中日・細川成也

●細川成也(中日)
※昨季成績140試合出場、打率.253、24本塁打、78打点、0盗塁
※通算成績263試合出場、打率.238、30本塁打、97打点、1盗塁

 現役ドラフトでDeNAから移籍した昨季は、和製大砲としての素質が開花。自己最高の成績を残した。肉体強化した今年はオープン戦でバンテリンドームの左翼後方に特大アーチを何本も放ち、すごみが増している。球団史上初の2年連続最下位に沈み、課題の打線強化に向けて中田翔、ディカーソン、上林誠知、中島宏之らを補強したが、若手の活躍なくして巻き返しは望めない。細川は30本塁打をクリアしてほしい。

写真=BBM