◆■パリ五輪を控える今夏は「特別なものになる。多忙だからね」

 サンアントニオ・スパーズのビクター・ウェンバンヤマは、2023年のドラフト全体1位指名でNBA入りし、ルーキーシーズンを終えてフランスへ帰国。そこで新人王受賞の記念セレモニーが開催され、50人以上の子どもたちも出席し、大歓声で祝福した。

 ウェンバンヤマは新人王のトロフィーを手に、「これは1年間をとおして僕らの進歩を表わす代表的なものの1つであり、僕らがコート上で見せてきた努力の結晶でもある。ファンや子どもたち、みんなの前でこのトロフィーを受け取れるのはいい気分。(トロフィーを)受け取ったことは、僕にとって正しい道を歩んでいるということ」と話していたと『ESPN』が報道。

 NBA1年目の今シーズン。フランス出身の224センチのビッグマンは、71試合の出場で平均29.7分21.4得点10.6リバウンド3.9アシスト1.2スティール3.6ブロックの大活躍を見せ、99人の投票者全員から1位票(5ポイント)を獲得し、495ポイントで満場一致の新人王となった。

 なかでもブロックはリーグトップで、24試合で5ブロック以上を記録。2月13日(現地時間12日、日付は以下同)のトロント・ラプターズ戦で今シーズンリーグ最多の10ブロックを含む27得点14リバウンドでトリプルダブル、1月11日のデトロイト・ピストンズ戦でも16得点12リバウンド10アシストのトリプルダブルを達成。

 最優秀守備選手賞の投票でも、ルーキーながら1位票19を含む計245ポイントを獲得して2位にランクイン。ミネソタ・ティンバーウルブズのルディ・ゴベアが1位票72を含む計433ポイントで受賞したとはいえ、ウェンバンヤマにも多くの票が集まった。

「僕には他に考えなきゃいけないことがあった。チームへの責任もそうだし、圧倒的な存在であり続けること、チームに役立つこと、そして健康であり続けるという課題もね。シーズンを通じて、僕はいろんなことを考えていた」

 セレモニーでそう口にしていた20歳のビッグマンは、さらにこう話していた。

「僕は現実的でね。新人王受賞だけじゃ足りない。この勢いを維持し続けていきたい。みんながファミリーであり、このストーリーの一部なんだ。僕のことを信じてくれているように、ファンやチームメートたち、スタッフのことを信じている」

 今シーズンのスパーズは、ウェスタン・カンファレンス14位の22勝60敗に終わり、5シーズン連続でプレーオフ出場を逃した。それでも、ウェンバンヤマを中心に、オールスター前に11勝44敗だったチームは球宴後に11勝16敗と、徐々に戦えるグループへ成長を遂げた。

 今夏にはフランス代表としてパリオリンピックも控えるウェンバンヤマは「この夏は特別なものになる。多忙だからね」と切り出し、こう語っていた。

「けど、僕にはまだ時間がある。フランスへ戻ってリラックスする時間もとれたし、ちょっとだけど家族とも過ごせた。ここからは練習へ時間を費やしていく。オリンピック終了後は少ししか時間がとれない分、シーズン前にワークアウトできるといいね」

 今夏ホームで迎えるオリンピック、そしてNBA2年目のシーズンに向けて本格始動したウェンバンヤマがどのような成長を遂げていくのか。「未来は楽しいものになるさ」という言葉で締めくくった男の今後の動向からも目が離せない。

【動画】2時間にわたるウェンバンヤマのハイライトはこちら!