敷島製パンは5月7日、パスコ東京多摩工場で生産した食パン「超熟山型 5枚スライス」に異物が混入したことが判明したと発表した。同社は、異物が混入した商品は回収したが、念のため同じラインで生産した商品約10万4000個を自主回収する。

敷島製パンによると、異物は「小動物らしきものの一部」で、これまでに健康被害の報告はあがっていないという。報道によると、同社が調べたところ、小動物は「小型のクマネズミ」だったそうだ。

東京多摩府中保健所の資料によると、クマネズミは高いところに登るのが得意で、警戒心が強く、学習能力が高いねずみだという。具体的にどのように混入していたか不明だが、ネットユーザーにとってはショッキングな出来事に映ったようだ。

ここからは一般論だが、もしもクマネズミのような異物が食品に混入していた場合、その食品を購入した人は法的にどんなことを求めることができるのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。

●もしも異物混入した食品を食べてしまったら・・・

販売した店に対しては、まず、異物混入していない正常な食品と取り替えるよう求めることができます(民法562条/買主の追完請求権)。

しかし、異物混入していた食品と同じ生産ラインで作られた食品と取り替えてもらっても、ふつうは誰も納得できませんので、売買契約解除ということで、代金の返還を求めたり(民法542条1項1号/催告によらない解除)、代金相当額の損害賠償を求めること(民法415条2項1号)が考えられます。

もしも、異物混入した食品を食べたことで、健康を損なうなどの損害が生じた場合、食品を生産した会社に対して損賠賠償(治療費、慰謝料、休業損害など)を求めることが考えられます(製造物責任法3条本文)。

製造物責任法は、製造物の欠陥によって、人の生命や身体、または財産に係る被害が生じた場合における製造業者の損害賠償の責任について定めることで、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律です。

【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp