MotoGP第4戦スペインGPが、2024年4月26日から28日にかけて、スペインのヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで行なわれました。MotoGPクラスに参戦する唯一の日本人ライダー、中上貴晶選手(ホンダ)は、スプリントを10位、決勝レースを14位で終えています。
パフォーマンスの限界に苦しめられた週末
MotoGP第4戦スペインGPが行なわれるヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトは、中上貴晶選手(イデミツ・ホンダLCR)にとって得意なサーキットのひとつです。2020年シーズンでは4位を獲得しています。
中上選手は初日を終えて、高速コーナーでのフィーリングが欠けていると感じていました。前々戦のポルトガルGPでは、ここ数年の改善点であるリアタイヤのグリップと安定感が無いことに苦しんでいましたが、スペインGPの中上選手を苦しめたのは、得意とする高速コーナーにおけるフロントタイヤのフィーリングでした。
「低速コーナーはブレーキング、エイペックス(コーナー内側の頂点のこと)、立ち上がりが、去年と比べても遅くはなくて、同じくらいだと思います。高速コーナーが、かなり遅いんです。とくにコーナー進入からコーナリングのボトムスピードが去年よりも遅く、タイムが稼げないんです」
「僕がホンダにリクエストしているのは、とにかく高速コーナーでのフロントのフィーリングをなんとかしてほしい、ということです。あとは自分のライディングでカバーできる自信があるので、今週に関しては、とにかくそこだけ良くしてほしい、と強く要望しています」
土曜日のスプリントでは、複雑なコンディションによって25名中15名が転倒する波乱のレースとなるなか10位でゴール、決勝レースは14位でフィニッシュしました。
決勝レースはポイント圏内でのゴールとなりましたが、8名のライダーの転倒もあって、中上選手はそれを「ラッキー」と表現しました。全体的に、得意のヘレスでのレースは、「きつい週末で、きついレース」となったのです。
「高速コーナーでのコーナー進入、フロントタイヤのフィーリング、また、高速コーナーでのリアの信頼性が欠けています。高速コーナーで、明らかに昨年よりも遅いんです。バイクのバランスを変えようと、いくつかの変更をしてみたんですが、まだ(問題が)残っています」
よく知るサーキットだけに、初日である金曜日の時点で、すでにパフォーマンスの限界を感じていたそうです。
そんなスペインGPの翌日、ヘレスで公式テストが行なわれました。公式テストで中上選手は、現在のホンダのMotoGPマシン「RC213V」が持つ問題の改善に向け、エアロの形状などが異なるマシンを走らせましたが、印象は今のバイクと「ほぼ変わらない」ものだったということです。ホンダ勢の浮上に向けた模索が続きます。
次戦となる第5戦フランスGPは、5月10日から12日、フランスのル・マン-ブガッティ・サーキットで行なわれます。