Prime Video『バチェラー・ジャパン』シーズン1で最後にバチェラーのハートを射止めた蒼川愛さん。過去に、拒食症になり入院したことがあったそう。食べられなくなった理由や乗り越えるまでの背景とは。(全4回中の3回)

「デブ」という言葉がきっかけで拒食症に

── 中学生、高校生の頃に拒食症になったことがあるそうですね。きっかけはなんだったのでしょうか?

蒼川さん:中学3年生のときに、クラスの男子から「デブ」と言われたことでした。その頃は、確かに食欲がすごかったと思います。お菓子やパックのココアなど、食べすぎている自覚はありました。なので、「デブ」と言われたことがダイエットを始めるきっかけになったとは思っていました。

ただ、ダイエットを始めてすぐの頃に摂取していたのは、本当に1日生きていけるギリギリの量のカロリーだけ。私自身が完璧主義者なので一度数字にとらわれると、とにかく体重が気になってしまい、食べる量が減って一気にやせました。食べないとダメなのはわかっているのですが、どうしても止められないという感じです。

「今では食べるのが大好き」と蒼川さん(Instagramより)「今では食べるのが大好き」と蒼川さん(本人のInstagramより)

── お母さんは心配されたのでは?

蒼川さん:思春期ということもあり、母との仲があまりよくない時期でした。なにか言っても私が反抗するだけだからか、母は心配しかできなかったようで、腫れものに触るように接していたように思います。お昼に作ってもらったお弁当を食べたくなくてこっそりと捨てていました。後で気づいたのですが、親にはバレていたみたいです。でも、親としては気づいていながらも、私に何か責めるようなことを直接言うことはありませんでした。

当時、食べたいという気持ちから逃げるために、勉強に没頭することで気を紛らわしていました。勉強している間は食べ物のことを考えなくてすむので成績はよかったですね。成績は問題ないし、母の作った夕飯だけは食べていたので、親としては言いづらいのもあったのかもしれません。

── でも結果的には治療のために入院することに?

蒼川さん:さすがにやせすぎてまずいと思ったのか、ある日、母に病院に連れていかれました。「体重が40kgをきったら入院」と言われていて、38kgになった高校1年生のときに入院することになりました。でも結果的に入院してよかったと思っています。そうでないとどこまでやせていっていたか…わかりませんね。

過酷な入院生活「個室トイレはガムテープで塞がれ」

── 入院中はどのような治療をしたのでしょうか?

蒼川さん:私が入院したのは精神病棟でした。行動制限療法という治療で、1日に摂取するカロリーが決められています。体重が増えるとできることがいろいろと増えるんです。最終的に、体重が10kg増えたら退院できることになっていました。

ただ、入院生活は過酷でした。個室の部屋のトイレは吐かないようにガムテープで塞がれていました。そのビジュアルがなんとも言えず衝撃的でした。トイレに行く場合は、看護師さんに付き添ってもらって共有トイレを使用する決まりになっていました。その間も吐かないように見張られているんです。

外出はもちろん禁止だし、お風呂もなかなか入る許可が出ず…。あまりの苦行に一刻も早く退院したいと思うようになって、「私は食べられるようになったから見て!」と、とにかくアピールしました。その甲斐があって、42kgまで体重を増やし2週間で退院させてもらいました。

── それほどつらい入院生活だったんですね。

蒼川さん:もう絶対に入院したくないと、退院後は一生懸命食べるようになりました。あとは入院生活で「これくらいの量なら食べても太らない」など、適正量がわかるようになったのもよかったです。爆食さえしなければ大丈夫だろうと、それからは安心して食べられるようになりました。

どうしてもそういう拒食したくなる感情に襲われたときは、勉強して気持ちをごまかして、うまく気持ちをコントロールできるようになったと思います。

大学時代。食べた後に吐いてしまうことも(Instagramより)大学時代。食べた後に吐いてしまうことも…(本人のInstagramより)

── その後はもう拒食症に悩まされることはなくなりましたか?

蒼川さん:そうですね。でも、実は大学に入ってから、今度は拒食症ではなく過食症に悩まされた時期がありました。環境の変化でストレスを感じていたのか食べては吐いてしまうように…。吐く頻度はたまにでしたが、1〜2年続きました。

でもある日、拒食症関連の本を読んでいたら、「吐いてしまっても、食べた分のすべてを吐けているわけではない」ということを知りました。また、そういうことを繰り返していると逆に太ってしまうと。それを知って、「意味ないな」と。スパッと吐くことをやめました。やめたいと思ってやめられたので、中高生の頃とは違って、自分をコントロールできるようになったのかなと思います。

今はもう子育てをするようになってから、拒食症や過食症に悩まされることはなくなりました。今、振り返ると、私の場合は見た目にとらわれすぎていたように思います。自分を認められなかったことが拒食症や過食症になった原因だったのかなと思います。「自分を認めてあげる」って大切ですよね。

子どもが生まれたのをきっかけに、食のことで悩むことはなくなった(Instagramより)子どもが生まれたのをきっかけに、食のことで悩むことはなくなった(Instagramより)

PROFILE 蒼川 愛さん

1994年生まれ、島根県出身。インフルエンサー。Prime Video『バチェラー・ジャパン』シーズン1に、大学生で参加。初代バチェラーの心をつかみ話題に。4歳の息子を育てるシングルマザー。

取材・文/酒井明子 画像提供/蒼川 愛