白子町の本社工場で冷蔵庫や自動販売機、エアコンなどの冷凍機器に使われる主要部品を製造、販売する。主力の冷媒用ドライヤーは国内製シェアトップといい、大正生まれの現役社長、山田栄作さん(101)らが開発をけん引してきた。

 冷媒用ドライヤーは、冷蔵庫などの冷凍回路内部の水分を除去するために用いられる部品。冷蔵庫が一般に普及しつつあった1954年に開発し、大手家電メーカーへの納入を始めた。

 開発は海外製の冷蔵庫を分解して部品をまねる“ゼロ”からのスタート。工場長を早稲田大に送り、専門的に研究させるなどして製造した。

 64年に創業地の東京都板橋区から白子町の中学校跡地に移転し、本格的な生産に着手。現在は同町の本社工場と三重県四日市市の営業所で従業員計69人が働き、工場では製造機器を動かす女性も少なくない。

 製品の原材料である銅管や銅板をスピニングマシンなどの特殊な機器で加工し、取引先の細かな要望に対応。部品を接続するろう付け加工は、熟練の技術者が手掛ける。故障の原因になる製品内の水分の量を1%以下に抑える真空高温乾燥機などの設備も有し、取引先から信頼される高品質を実現している。

 「冷凍回路関係の部品ならまず不可能なものはないぐらいの技術はある」と自負し、取引先は大手メーカーを含む80社以上。2022年度は約8億円を売り上げ、利益を増やした。

 高い技術力で作り上げた製品は、冷蔵庫や町なかの自動販売機、コンビニ店の冷凍食品を入れるショーケースなどに組み込まれ、通常は見ることはできないが、われわれの生活を支えている。

 2月には白子中学校で、町内企業が自社の製品や仕事内容を紹介する特別授業に参加した。人口減などにより、人材確保は多くの企業で共通する課題の一つ。山田社長は「給料を上げて入社を希望される会社にしたい」と展望する。

 「どうしても必要なものなので(取引先は)買ってくれているが、それに甘えずコストを下げ、不良品を絶対に出さない。それが宿命」と山田社長は力を込める。安価な海外製に対抗できる高品質の製品を作り、他社にはまねできない製品開発に積極的に取り組む。