今夏、台湾で開催される野球の「U―18アジア選手権」に向けて、4日から奈良県内で始まった候補選手の強化合宿で、小倉全由監督(66)は投手と野手の”二刀流”選手を複数求める方針を示した。

 「そういう選手がいないと困るんでね。投手の数をそろえていかないといけないので。投手も野手もやってくれて、打線のほうでも戦力になってくれる選手がいてくれたら助かるので」

 今回の参加メンバーに選ばれた大阪桐蔭の境亮陽外野手(3年)は”二刀流”経験者だ。一塁到達タイムは3秒9の俊足。強肩は今回の参加選手を驚かせた今秋ドラフト候補でもある。昨秋の大阪府予選までは登板もあったが、大会途中から俊足、強肩を生かした外野手に専念している。その経験を知っている小倉監督から打診された。

 二刀流を「できたら、やりたい気持ちもあります。本当にありそうな気もします。ちょっとやっていったら感覚は戻ると思うので、やれると思いますが」と境。昨夏の時点で144キロを出していた。小倉監督にすればうってつけの人材だ。ただ、大阪桐蔭は140キロ後半以上の球速を誇る投手が5人いる。今春センバツではチームのスピードガンで平嶋が151キロ、2年生右腕の森が150キロ、2年生右腕の中野が148キロを計測したという。投手として実戦登板の機会はなかなか望めないだろう。

 この日の紅白戦では投手として招集した中から、八戸工大一の左腕・金渕光希投手、鶴岡東の左腕・桜井椿稀投手、中越の右腕・高橋駿臥投手を打席にも立たせた。また内野手として選んだ中央学院の右腕・颯佐心汰(さっさ・ここた)には登板機会を設けた。また京都国際の左腕・中崎琉生投手に中堅の守備に就かせた。

 アジア選手権の登録選手数は18人。投手には球数制限もある。”二刀流”は貴重な存在となるのは間違いない。

 「夏までにもっと見ていかなきゃいけないんじゃないかと思います」と小倉監督。各選手の投打にわたる成長、そして新たな候補の出現を待つ。