WGP 第4戦 スペインGP ロードレース世界選手権 スプリント&決勝 27&28日

ヘレスサーキット ペン&カメラ=遠藤智

 モトGPクラス決勝で、グレッシーニのマルク・マルケス(31)=スペイン=が2位に食い込み、ドゥカティ移籍後初の表彰台に立った。25周のレースでは、優勝したドゥカティのフランチェスコ・バニャイア(27)=イタリア=と激しいバトルを展開。「昔のように走れた」と全盛期をほうふつさせる熱い走りを披露した。3位はVR46のマルコ・ベゼッキ(25)=イタリア=で、LCRホンダの中上貴晶(32)は今季ベストタイの14位に食い込んだ。

 母国グランプリを迎えたかつての絶対王者、マルク・マルケスが、スタンドを埋めた地元ファンを沸きに沸かせた。バニャイアとの熱いバトルは接触もいとわない激しいもの。結局2位に終わったものの、レース後はお祭り騒ぎのように盛り上がった。

 「とても重要な一戦になった。スピードが戻ってきて、昔のように走れるようになった。激しいバトルもできて、本当に楽しかった」と満面の笑み。

 チェッカー後はコースを走りながら、コーナーごとにバイクを止めて観客の声援に応え、フェンスによじ登ってガッツポーズ。2020年に転倒し、右腕を骨折した因縁のヘレスで自身の完全復活を喜んだ。

 戦いぶりは、ホンダでの全盛期をほうふつさせる力強さ。移籍後初のポールポジションからホールショットを決めると、ワークス車両を駆る2連覇中の王者バニャイアやホルヘ・マルティンに先行を許しながらも、背後にピタリとマーク。20周目からゴールまで、バニャイアと圧巻のマッチレースを展開した。新旧王者がコーナーごとにトップの座を入れ替え、バイクが接触するほどの激しいバトルに、観客も固唾(かたず)をのんで見守った。

 前日のスプリントではトップに立った直後に、ぬれた路面に足をすくわれて転倒。だが、すぐに走り出して6位まで盛り返した。「少しずつ自信を持てるようになり、バイクの上でも柔軟になってきたと感じる。あとちょっと」と確かな手応えをつかんでいた。

 「最終周は(優勝を)狙っていったけど、ペコ(バニャイア)が速くて届かなかった。ここからがスタートだ」。強いマルクがようやく帰ってきた。