良型グレを狙って4月12日、福井県敦賀市の白木磯へ釣行した。当日は好天のなぎで、波に弱い同磯では申し分のない条件下、目標の40センチ超には届かなかったが、尾長38センチとクロダイ45センチが顔を見せてくれた。

 「俊栄丸渡船」で午前6時に出船し、アイザキの地に渡った。シモリの多い浅場だが、春の良型クロダイ&グレが狙える人気磯だ。40センチ超のグレを目標に定め、1年ぶりの磯にワクワクしながら仕掛けをセットする。竿5メートル、ハリス1・7号、グレ針5号で餌はまき餌がオキアミ6キロ+集魚材2袋、刺し餌は加工オキアミ。ポイントは正面の大きいシモリの右側でタナ2・5〜3ヒロ強を潮に合わせて釣る。

 潮が澄んで海底まで丸見えの状況だ。竿1本半先に投入し、まき餌をウキ周辺に2〜3杯まく。ウキだけ先行して右に流れ、仕掛けを引っ張っていくが、まき餌は表層の流れで少し右に流れつつも沈んでいくとそのまま底へ落ちる様子がうかがわれる。「これはやっかい」。手前の竿1本中心で打ち返すが、案の定アタリはなく餌も取られない。そのうち潮も変わるだろうとタカをくくっていたが、10時になっても一向に変わらない。

 竿3本先まで遠投したり、ウキを沈めたり、棒ウキに替えたりするが、なかなか仕掛けとまき餌を同調させられず焦る。11時過ぎ、諦めて昼食にしようと思っていると、表層の滑る潮が緩み始めた。チャンス到来と、足元の竿1本先の小さなシモリ際を左から右に流れる潮に乗せて流す。まだ表層の滑りが残っているので、ウキが先行しないよう道糸を張りながらゆっくり流すと、ウキがスルスルと沈み、合わせると手応えのある重量感が伝わった。すんなり浮いてきたのは45センチのクロダイ。狙いのグレとは違うが、結果が出たことに勢いづく。

 次投を入れると、潮が変わって右から左へとゆっくり流れるようになった。ポイントの大きいシモリ際を狙うべく、右方向に入れて流す。ウキがジワジワと沈んでいくが消し込まない。貴重なアタリを逃すまいと、合わせずに我慢して待つ。ジワジワ沈んでは止まる典型的な渋いアタリに惑わされずに待っていると、底まで沈んだウキがスルッと走った。

 「待ってました!」とばかり合わせると、ズシッとした重みとシモリ周りを走り回る引き。それを落ち着いてかわし、玉網に収めたのは33センチのグレだった。「もう少し大きいサイズを」と打ち返すが、30センチ級はポツポツ顔を出すものの、良型からの反応はなかった。

 その後は沈黙が続いたが、諦めずに仕掛けを流す。これまでは根掛かりを恐れて仕掛けをシモリ手前で回収していたが、根掛かり覚悟でシモリギリギリまで流すと、ウキがスルッと沈み、いったん止まってすぐにスパッと海中に消えた。

 合わせると、ガツンと力強い引きで何度もシモリヘ逃げ込もうとする。愛用の竿とこれまで何度も窮地を救ってくれた糸を信じて浮かせると、38センチの尾長グレだった。この日は残念ながらこれが最長で納竿の午後3時を迎えた。磯渡しは月〜金曜の平日のみ出船。渡船料6000円。(問)俊栄丸渡船=(電)090(8968)0565▽つりエサスーパー越前=(電)0770(36)1142

 (敦賀市・前原弘和)