大相撲春場所で110年ぶりとなる新入幕優勝を果たした幕内尊富士(25)=伊勢ケ浜=が1日、故郷の青森県五所川原市で行われた凱旋(がいせん)パレードに参加した。同市の人口5万人に対し、市によると、この日のパレードに集まった観衆は5万5000人。「市民総出超え」の歓声を一身に受け、夏場所(12日初日・両国国技館)へ気合を充電した。

 オープンカーが角を曲がれば、観衆も大移動。毎年8月に高さ最大23メートルの山車が練り回る祭り「五所川原立佞武多(たちねぷた)」級の大フィーバーの主役になった。

 春場所は14日目に右足首を負傷したが、強行出場して千秋楽で勝って自力で優勝を決めた。「15日目に土俵に立てたのは、応援のおかげ」と感謝の思いで偉業を振り返った。「県外からも五所川原市、そして金木に足を踏み入れてもらえて、相撲をやってきてよかった」と声を弾ませた。

 パレードに先駆け、市役所では第1号となる市民栄誉賞を受賞。青森県庁では、力士で師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)以来となる県褒賞が贈られた。初の師弟受賞で最高の孝行になった。

 8月には、師匠の故郷のつがる市など青森県での巡業が予定されている。次はさらに番付を駆け上がった姿を見せたい。尊富士は「それが相撲人生なんで。これからが大事」ときっぱり。勝って勝って、故郷を盛り上げ続ける。