少し遅い春を感じながら4月12日、岐阜県郡上市高鷲の長良川本流(郡上漁協管内)までやって来た。川沿いの桜並木はポンポンに咲き乱れ、風が吹くと花びらが舞っていた。天気は晴れ、水位は10センチ高。「おはようございます!」。待ち合わせしていた師匠はすでに早朝から竿を出していたようで満面の笑み。それもそのはず、早朝からの約3時間で30匹を超える天然アマゴを釣っていたからだ。

 午前9時、私も早速竿を出してみる。淵の開きでクンクン…。アマゴ特有の軽快なアタリは私の渓流魂に火をつけた。手にしたアマゴは、この時期にしては若干小さめの16センチ。美しいパーマークとヒレは、薄オレンジに染まっていた。

 淵の開きで4匹釣り上げた後、釣り上がって瀬の脇を攻めてみる。そこは思ったほどアマゴの気配はなく、目印を高くとり、オモリを2BからBまで重くして瀬の芯を探ってみた。グイーン! いたいた。魚とのやりとりを楽しみながらネットイン! 当日一番の20センチのヒレピンちゃん。思い通りのところで魚が出てくれるのは、やっぱりうれしい♪

 午前中で16匹のアマゴを釣ったが、15センチ以下はすべてリリースした。午後は巻き上げるような強風が吹き、泣く泣く竿をしまった。渓流釣りはやはり午前中と夕方がオススメ。それにしても、この魚影の濃さには正直驚かされた。漁協の渓流魚に対する取り組みが、ようやく実を結んできたのでは、と感じずにはいられない。

 郡上漁協組合長でもあり、私の師匠でもある白滝さんに組合の取り組みと、今後の展望を聞いてみた。「稚魚放流が主流の従来の増殖方法を見直し、最新の知見に基づいて発眼卵やメスの親魚放流など、多角的手法を取り入れながら、広い意味での環境整備に力を入れてきたことが徐々に実を結びつつあるのではないかな。これから5月に入るとアマゴも一回り大きくパワーアップし、さらに楽しくなってくるよ」とのことだった。

 たくさんの要素が相まってよい環境にある長良川を維持していくため、釣り人の私たちができること。それは小さなアマゴをリリースすること、そして産卵を控えた個体をリリースすることが大切だと改めて感じた釣行だった。今夜はアマゴの唐揚げで、頭からガブリと食べよう♪

 年券6000円(身障者・70歳以上・女性4000円)、日券1500円(同1000円)、24歳以下は無料。

 (問)郡上漁協=(電)0575(65)2562▽清水釣具店=(電)0575(65)4740

 (R3−Tradition・鮎川ナオミ)

   【筆者のタックル】

 竿  ダイワエキスパートTT−70

 糸  フロロ0.15号

オモリ 2B〜B号

 針  渓流4号

 餌  キンパク