【リスボン=ルイス・バスコンセロス】チームプレーと称してレース中に違反行為を繰り返すハースF1のケビン・マグヌッセン(31)=デンマーク=の蛮行を受け、国際自動車連盟(FIA)が厳罰化に動き出した。マイアミGPのスプリント(4日)では、故意に3度もコースを外れてポジションをキープ。自身は計35秒加算のペナルティーを受けながら、後続の追い上げを阻止して同僚の7位入賞をアシストした。第2戦でも使って物議を醸した“秘技”は、罰則の強化によって封印されそうだ。

 たった19周で争われたマイアミのスプリントで、マグヌッセンは違反と承知しながら3度もコースをショートカットするなど、やりたい放題。抜きにかかってくるメルセデスのルイス・ハミルトンらを後方に押しとどめて時間を稼ぎ、前を走る同僚ニコ・ヒュルケンベルグの7位入賞をアシストした。

 3月9日の第2戦サウジアラビアGPの決勝でも、同様にビサ・キャッシュアップRBの角田裕毅を抑え込んでいた。当時は批判の一方で、「チームプレー」と称賛する声も上がったが、違反行為がさらにエスカレート。FIAも放置できず、対策の必要に迫られた。

 レース審査委員会の事情聴取に対し、マグヌッセンは規則違反を素直に認めつつ、「チームのためにしなければならなかった」と主張。審査委員会は「スポーツマンシップに反する行為」とは認定しないまでも、「このような違反が繰り返されるなら、罰則の強化を検討する必要がある」との声明を発表した。

 コースオフしてアドバンテージを得た選手に対し、FIAが検討する罰則強化案は以下の通りだ。まず「速やかにポジションを戻すよう指示」し、従わなければ「ドライブスルーペナルティー」を科す。それにも従わない場合は「失格」とし、「自動的に次戦は出場停止」となる。

反対意見なし

 シーズン中の規則変更になるため、F1委員会を通じて規則を固めたうえで、全チームの承認なども必要になる。ただ、多くの選手とチームが事態を問題視しており、罰則強化への反対意見はほとんどない状況。意外と早く規則化される可能性が高く、おきて破りの秘技も、もう見納めだ。