将棋の藤井聡太名人（２１）＝竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖との八冠＝に豊島将之九段（３３）が挑戦する第８２期名人戦７番勝負第３局は９日、２日目の対局が東京都大田区の羽田空港第１ターミナルで行われ、先手・藤井名人が６３手目を考慮中に正午の昼食休憩に入った。

　藤井名人が８日、午後６時３０分の定刻を約２０分過ぎたところまで考えた封じ手は、１筋から敵陣をにらむ角打ち。ここから２筋、１筋に繰り出した「棒銀」の攻めを加速させ、相手の守りの金と攻めの銀の交換、さらに飛車を成って「棒銀」を成功させた。豊島九段は手持ちとなった銀を自陣の玉近くに打ち込んで、藤井名人の猛攻に備えた。

　１日目の序盤はテンポよく最初の１時間で２３手進んだが、角交換となってからは両者が持ち角の内場所をさぐる、持ち時間９時間の２日制という対局ならではの読み合いとなり、その後は６時間以上で２１手しか進まなかった。２日目は封じ手から激しい攻め合いが想定されたが、昼食休憩までの２時間で２１手と間合いを計る展開に。そこまでの消費は藤井名人が４時間５８分、豊島九段は６時間１６分。昼食は藤井名人が「冷やし中華とミニチャーハンセット」とアイスジャスミンティー、豊島九段は「鰻ひつまぶし」を注文した。

　本局は同日夜、決着の見込み。藤井名人は勝てば初防衛に王手がかかる。両者はこれまで３５局の対局があり、藤井名人の２４勝１１敗。藤井名人がプロ入りした当初は豊島九段が６連勝したが、現在は藤井名人が１１連勝中。