◇23日 社会人野球都市対抗・近畿地区第2次予選・第1代表決定トーナメント準々決勝 ミキハウス9―1ニチダイ(わかさスタジアム京都)

 元巨人投手、ミキハウスの桜井俊貴投手(30)が6安打、13奪三振の1失点の完投でチームを準決勝進出に導いた。大阪ガスを破って勝ち上がってきたニチダイを、この日最速146キロの直球に変化球を織り交ぜ、7回までは1安打の無失点。陣田匡人監督(45)から交代を打診されたが続投を志願。132球を投げ、8回の1失点にとどめた。

 「8回で代わるようでは、他の投手に申し訳ない。投げきれるなら、自分でいっちゃおうかな、と。8回くらいでちょっとしんどかったですが、丁寧に投げることだけ心掛けました」

 1年前はネット裏から、ドラフト候補のプレーを見定めるスカウトだった。北須磨高から立命館大に進み、関西学生リーグで通算28勝。2015年度ドラフト1位で巨人に入団し、4年目の2018年にはプロ初勝利から8勝をマークした。プロ7年の通算成績は110試合13勝12敗、10ホールドの防御率5・18。22年限りで戦力外となり、翌23年は巨人スカウトとして活動したが、1年間限りで退団。ミキハウスの元監督で立命館大野球部OB会長が橋渡し役となり、今年から現役として再出発をした。プロ入り当初の背番号「21」を背負う。

 現役復帰したばかりの1月は、1年間のブランクを感じて「焦ったところもある」と振り返る。今は「8割ぐらいまで仕上がってきた」という。今大会は初戦(YBSホールディングス戦)で救援登板し、1イニングを無失点。中1日で完投勝利と元プロの実力を発揮している。

 「トーナメントで負けられない戦いが続くので、1試合に懸ける思いが相手よりどれだけ上回れるか。技術はたぶん、それほど変わらない。気持ちだけはしっかり持っていこうと。一戦必勝で」

 都市対抗の舞台は古巣の本拠地、東京ドーム。たどり着くために厳しい戦いを乗り越えていく。