コシヒカリなどの米どころとして有名で、冬にはウィンタースポーツを楽しむために訪れる人も多い新潟県。実は、江戸時代から続く伝統的な織物〈亀田縞〉が生まれた土地でもあります。
その〈亀田縞〉を使った、新潟を愛する人のためのネクタイ〈ニイガタネクタイ -亀田縞編〉が2024年4月に誕生しました。
〈ニイガタネクタイ -亀田縞編〉を企画・プロデュースしたのは、新潟を拠点にデザイン活動をしている〈hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)〉。
新潟への誇りや愛着を日常的に表現してほしいという思いで、「新潟の大人のためのネクタイ」を開発したそう。
第1弾となる亀田縞編では、新潟市亀田の機織メーカー〈中営織業(なかえきぎょう)〉が持つ206種の縞の中から5つをセレクト。
新潟の新たなスタンダードとなるよう、縞のレイアウトや配色・質感など細部にこだわり、カジュアルな服装や古着、ビジネスシーンにもマッチするラインナップに仕上げています。
〈ワイドネイビー&ゴールド〉
複数の太さのストライプで構成された、遊び心のある〈ワイドネイビー&ゴールド〉。ジーンズなどのブルーやブラウンのパンツとも相性抜群なので、カジュアルな服装や、明るい印象を好む方にぴったりです。
〈ブラウン&グレー〉
大人っぽく落ち着いた雰囲気のある〈ブラウン&グレー〉は、カラーシャツにも合わせやすい1本。ブラウン系のジャケットやスーツとの相性もばっちりです。
〈ブラックグレー〉
あまり目立ちたくない、でも上質なものを身に着けたい。そんな方にマッチするのが、この〈ブラックグレー〉。素朴な印象のなかにも、綿の柔らかさを感じられます。
〈ダークレッド&ライトピンク〉
よく見るとピンクや水色の糸も混じっているこちらは、〈ダークレッド&ライトピンク〉。えんじ色による大人っぽくレトロな雰囲気は、ヴィンテージのお洋服ともよく合いそうです。
〈ワイドブルー&グレー〉
伝統的な〈亀田縞〉らしい〈ワイドブルー&グレー〉。幅広なストライプが明るい印象を演出します。ポイントとなるライトブルーに合わせ、ブルー系のパンツと組み合わせるのがおすすめです。
販売時は、新潟の紙器メーカーによる手作業でつくられたオリジナルボックスに丁寧にセット。タグには気品を感じるエレガントな刺繍を入れて、「贈っても贈られても嬉しい」プロダクトを目指しています。
この上品な色の組み合わせと素材感なら、6月に控える父の日や就職・昇進祝いのギフト、はたまた「ネクタイをしていないと落ち着かない」なんて方への退職祝いまで、幅広い世代の方への贈り物として活躍しそうです。
手仕事が支える〈亀田縞〉の上質さネクタイの品質と高級感をつくり出しているのは、3000本以上の綿の糸から織られる〈亀田縞〉生地。
縞模様が決まったら、それに合わせて〈中営織業〉の職人さんが1本1本糸を配置し、小さな穴に通す「整経」を行います。
この気が遠くなりそうな工程を経て、織機を動かす「製織」へ。その間も、糸の配置に誤りがないか、正しく織れているか、職人さんがこまめに確認するそうです。
この道50年の熟練職人さんによる手仕事、そしてミリ単位の確認を経て作られる〈ニイガタネクタイ -亀田縞編〉。
凸凹を感じられる綿特有の質感が、化学繊維やシルクとは一味違う柔らかさを感じさせます。
普段はネクタイに使われない素材だからこそ、角がしっかり出るように構造にもひと工夫。
背景にある「身につけて、使ってはじめて生地は喜ぶ」という考え方がプロダクトにどこまでも浸透しているのを感じます。
一度は姿を消した〈亀田縞〉の復活もともと〈亀田縞〉は、湿地だった新潟市亀田地区で、稲作農家さんの作業着用につくられた綿織物でした。
乾きやすい素材と美しい縞模様は全国的に広がり、大正初期には600以上の業者により亀田縞が生産されていたものの、戦争とともに次々と廃業。一度はその姿を消してしまった……という歴史をもつ織物です。
そんな〈亀田縞〉が、2軒の機織工場により復活したのは2002年のこと。そのうちの1軒が、 〈ニイガタネクタイ -亀田縞編〉の製造に関わっている〈中営織業〉なのです。
伝統を日常的に身に着ける一度は姿を消してしまった過去がある〈亀田縞〉。
その背景を知ると、色柄と風合いを生かしながら現代の人が日常的に、長く使えるように……というつくり手のこだわりにも、よりいっそう深みを感じます。
新潟にゆかりのある方なら、土地への愛や誇りを示すひとつの方法として。〈亀田縞〉に心が動かされた方なら、手仕事への敬意の象徴として。もちろん、デザインにシンプルに魅力を感じたという方にも。
会話のきっかけにもなりそうな〈ニイガタネクタイ -亀田縞編〉、手にとってみてはいかがでしょうか。
information
hickory03travelers
Web:公式サイト
writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。