夏の調子の悪さは、冷たすぎる食材をたくさん食べてしまうことが原因になる場合が多々あります。冷たい氷入りの飲み物や、アイス、かき氷などは、お腹を急激に冷やしてしまうので、内臓機能の低下から不調になってしまうことも。
内臓が冷えることで機能低下が起こり、水分の代謝ができず、むくみに繋がったり、食欲の低下、体のだるさ、下痢、頭痛などに悩まされることもあるでしょう。
今回ご紹介する夏におすすめの食材は、効率よく体の熱を冷まして喉の渇きを潤してくれるものばかり。暑いからと、ついつい冷たいものを食べ過ぎたり、飲み過ぎたりしてしまう方はぜひご活用ください! どの食材もスーパーで入手できる身近なものばかりなので、手軽にセルフケアができますよ。
◆スイカ
体の熱を冷まし、汗で失った水分を補ってくれる代表食材とも言えるのがスイカです。熱冷まし効果が高いので、暑い夏にぴったりの食材。体の火照りを抑え、喉の渇きを軽減する漢方薬である白虎湯(びゃっことう)と同じような効果があることから、「天然の白虎湯」とも呼ばれています。
そのまま食べることが一般的ですが、スイカと炭酸水を合わせてドリンクにしたり、ミキサーに入れてジュースにしても美味しく召し上がれますよ。
また、スイカの皮の白い部分は、赤い実の部分よりも利尿効果が高く、むくみ予防に最適です。炒め物に入れると、瓜のような食感で食べることができるので、お試しください。
◆メロン
メロンも、スイカほど効果は高くありませんが、暑さを緩和し利尿作用があることから体のだるさや、むくみの軽減の効果も期待できる食材です。
どちらも、体を冷ます効果が高いので、くれぐれも食べ過ぎには気をつけましょう。また、体が冷えていると感じる時には避けることも大切です。
◆バナナ
便秘にも効果のあるバナナは、薬膳では体の熱冷まし食材と言われています。便秘のタイプの中でも、熱を持った便秘の方におすすめです。ガスの匂いが強かったり、コロコロとした便が出るときには、バナナを活用してみましょう。
手軽に食べられるフルーツであることから、日頃からバナナを食べている方も多いかもしれません。しかし、バナナは暑いシーズンである場合か、体が熱を持っている場合にこそ食べる食材だということを、ぜひ覚えておきましょう。
◆トマト
夏野菜の代表食材のひとつでもあるトマト。夏のトマトは甘みがあってジューシーで美味しいですが、こちらも体の熱を冷まし、汗で失った水分を補う食材です。トマトは加熱をすると血を補う効果が強くなるので、血が不足しがちな女性にも嬉しい食材です。
スープや、パスタ、サラダなど様々なお料理にも使えるのが魅力です。
◆きゅうり
ウリ科であるきゅうりは、水分が豊富でほてりやのどの渇きに効果があります。約95%が水分なので、食べるだけで水分補給が叶うところも、夏におすすめな理由。利尿効果も高いのでむくみ解消にも効果的な食材です。
暑がりで夏の暑さが辛いと感じる方は、きゅうりを使った食事を毎日の食卓に取り入れてみましょう。きゅうりは生のまま食べることが多い食材ですが、薬膳では炒めたりスープに入れたり、加熱したものを利用することもあります。
◆苦瓜(ゴーヤ)
独特な苦味が特徴のゴーヤは、沖縄料理ではおなじみの食材ですね。炒め物や、漬物などで食べられることが多いです。薬膳では、体の熱を冷ますことと、デトックス効果が期待できる食材とされています。
吹き出物や口内炎など皮膚や粘膜の炎症がある場合に、活用するのもおすすめです。
◆もやし
安価で手に入りやすい身近な食材であるもやしも、熱冷まし食材のひとつ。溜まってしまった余分な水分の代謝を上げる効果があるので、夏バテやむくみの対策にもおすすめです。
◆茄子
黒くて艶のある皮が特徴の茄子は、夏から秋が旬の食材です。茄子も熱を冷ます効果や、利尿作用があるので、のぼせの症状にも効果的。
茄子は皮に効能がたっぷり含まれているので、皮ごと調理をするのがおすすめです。
◆もずく
ワカメや昆布などの海藻類は、体の熱を冷ます効果が高い食材が多いですが、その中でも夏におすすめなのがもずくです。酸味のあるもずく酢は、汗をかくことでなくなった体の水分を補ってくれる効果があるので、夏にぴったりの食べ物です。
◆緑豆
ジメジメとした湿気っぽい暑さのある日におすすめなのが、緑豆です。日本ではあまり馴染みのある食材ではありませんが、東南アジアや中国では、湿気と熱冷ましの必須食材として使われています。緑豆は熱を冷ましながら体の除湿ができるので、湿気のある夏日にはぜひ活用してみましょう。
水で戻さなくても、お米と一緒に炊飯するだけでも食べられるので、取り入れやすい薬膳食材です。東南アジアでは、カレーやおかず、デザートにも使われるメジャーな食材です。
日本では緑豆を使ったもやしや、緑豆春雨の方が身近な食材かもしれません。もやしや緑豆春雨も、効果は弱くなりますが同じような効能が期待できます。
体の中から熱冷ましをして、暑い夏を快適に過ごそう
今回ご紹介した食材は、どれも熱を冷ます種類の食材です。食べ過ぎてしまうとお腹が冷えてしまい、不調にも繋がりやすいので体の様子と相談しながら取り入れてみましょう。
特に、暑い夏でも冷房のかかった室内で長く過ごした日や、冷たい飲み物やアイスを食べた日は、よりお腹が冷えやすくなっています。そういったときには、今回ご紹介した食材は、逆に避けるようにするといいですね。
暑い時には、熱冷ましの食材を利用することで、効率よく体の調子を整えてくれるので、ぜひ日々の養生にご活用ください。
さとうあい
宮城県仙台市在住の料理家。フードコーディネーターや学校講師などを通して飲食業界に携わること20年以上。現在は、企業様向けフードコンサルティング事業を行う、motto cooking tableを主宰する傍ら、レシピライターとしても活動中。また、国際中医薬膳師として、アレルギー体質などの不調に悩む子ども達へ、美味しく食べて健康になれる薬膳料理「こども薬膳」を広める活動も行う。
文・撮影=さとうあい