元SDN48の光上せあらさんが、炎上ママタレの一角に名乗りを上げたようだ。きっかけは3月5日のブログの、息子さんが触ったカフェの店頭に並ぶサンドイッチを買い取りさせられたというトラブルについての言及だった。

 当初は「(サンドイッチに触ったことに)気づかなくてすみませんでした」としおらしくしていたものの、翌日には「子育てママに世知辛すぎない!?」とのタイトルで「買い取るけど、子供達が触るもの全部はかいとれないし、そこの基準をもう少し甘くしてほしい」と訴えて即時ネットニュースになった。

 コメント欄はあっという間に批判の嵐となり、子育て中の女性からも、「子連れママがみんなこんな考え方だと思わないでほしい、余計に肩身が狭くなる」という苦言も寄せられた。

 反響の大きさに光上さんも驚いたようで、この一件をネタにして4日連続でブログを更新。アイドル時代から「ロンドンハーツ」などでは嫌われキャラとして爪痕を残していたが、また炎上で注目を浴びるうまみを覚えてしまったようだ。

 光上さんと親交があるというママタレの先輩・小林礼奈さんも、2021年に子連れで訪れたラーメン店で退店させられたという苦情をブログに記して大炎上したことがある。騒動を受けて、名指しされたラーメン店は公式ホームページで釈明文を出した。防犯カメラの映像を確認し時系列を追って説明するなど、悪質なデマ対策に手間をかけざるを得ない状況になったようだ。

 光上さんのブログにも、買い取りになったサンドイッチの画像にはしっかりカフェの名前が映り込んでいる。小林さんの時のように、カフェ側から公式の謝罪を引き出したかったのではと、疑いの目を向ける人も少なくない。

ママタレ界のドーピングとして定着した“ママに冷たい社会”ネタ 炎上ママタレは本当に「子連れに優しい社会」を望んでいるのか?

 人はポジティブなことよりネガティブなことを覚えているという。優しく接してもらったという話より、冷たい仕打ちを受けたという話の方が関心を集めやすい。

 起業家としての顔を持つ光上さんにとって、宣伝は大事な仕事だ。いい人キャラで誰も見ないブログを書き続けるより、炎上してもたくさんの人が見てくれる方がいいという判断があっただろう。記事の合間に、発売予定のセイロ(蒸籠)の投稿をちゃっかり行っていた。商魂のたくましさには驚くばかりである。

 毎月のように新たなママタレが出てくる芸能界で、手っ取り早く知名度が欲しければ、炎上しそうな子育てエピソードの投下が一番の“ドーピング”である。小林さんしかり、才賀紀左衛門さんと事実婚を解消した絵莉さん、埼玉県志木市議会議員と子連れ再婚を果たしたおかもとまりさんらがいい例だ。「世間は子連れに冷たい」「ワンオペの苦労を分かってくれない」「母親は生きづらい」と言えば言うほど、ネットニュースに取り上げられ、注目を集めやすくなる。店名や企業名など、明確な“敵”の名前を出せばさらに効果は倍になるだろう。

 光上さんは自分のエピソードを「少子化」という社会問題に結び付け、単なるワガママではないことをアピールしている。「日本の一国を背負う人材を産み、育てて、さらには税金やらなんやら払っているのに、もっと優しくしてほしい」「これから妊娠して出産をする方や、世代のみんな、妊娠、出産したくなくならないで」と。しかし、アイドル時代から炎上を利用してきた光上さんにとって、子連れママに完璧に優しい社会なんて商売上がったりではないだろうか。

売り物を壊す幼児はよくても「低身長」や「おごらない男」はダメ? 属性で主張を変えながら「少子化」を憂う矛盾

 光上さんのブログを読む限り、お店側が必要以上に「子連れママに厳しい」対応をしたとは思えない。後日の投稿で「子どもが触ったから問答無用に買い取らされる」と変換しているように見受けられるが、店員さんの声掛けは「何が起きましたか?」というものにとどまっている。病院内の施設ということもあり、人の手が触ったものに敏感にならざるを得ない。

 そもそも何かとこうやってSNSで拡散される時代、弁償をお願いしたい状況でも、ほとんどのお店は余計なトラブルを避けて泣き寝入りしているのが実情ではないだろうか。

 子どもは国の宝、と主張する光上さんだが、他人に対しては手厳しい。2月末のブログでは「落としたい女がいるなら食事くらい奢ってカッコつけて欲しい」「割り勘の方がいいって女性もいるけど私は妖精の世界線だと思ってて」と、割り勘派の男女をバッサリ。さらにヌーナン症候群の検査をした息子さんには、難病という結果でなくても、身長を伸ばすのに効果的なホルモン治療をやろうかちょっと迷っているという。それは「男の子だし、あんまりおチビだとちょっと、、デートが大変かなって笑」という理由だそうだ。

 悪気なく店のものを壊す子どもは大目に見てほしいが、高収入・高身長でない男性はお断り。アイドル時代は「女子がたくさんいるのが苦手」と言って周囲から総スカンだったこともある光上さん。誰もが誰かの大事な子どもであったり、日本を支えている人材であったりするはずなのに、相手の属性によって態度を変えつつ「子どもに冷たい世の中」を訴えるのはちょっと都合が良すぎるように見えてしまう。

 生きづらいのは、世間の目よりも自分の許容範囲の狭さにあるのではないだろうか。高収入・高身長の男性と結婚して、ワンオペ育児が回らず弁償と炎上に追われる生活は、釣り合いが取れているのかも分からない。ひとつ分かることは、炎上で儲けようとするママタレが多い世界って、子どもの教育には良くないよなということだけである。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部