YouTuberのヒカルと女優・内田理央のお泊まり交際が、「週刊文春」の取材によって発覚したように、近年YouTuberとタレントの交際、結婚も珍しくなくなっている。しかし、今回の報道に「がっかりした」という声も散見され……。【冨士海ネコ/ライター】

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 進研ゼミ小学講座の調査では、小学生のなりたい職業は4年連続「YouTuber」だという(2020年〜23年)。さまざまな機関による調査でも、小学生、特に男子のYouTuberへの憧れは実に強い。芸能人やスポーツ選手より、上位にランクインすることも多い。

 最近では峯岸みなみさんや元フジテレビの久代萌美アナなど、女性タレントや女性アナウンサーのような著名人が結婚相手として選ぶケースも増えている。

 そして先日、人気YouTuberのヒカルさんと内田理央さんのお泊まり交際が、「週刊文春」の取材によって発覚。ヒカルさん側は「ほぼほぼ事実」と認めている。

 2021年には、YouTube関連の収入額は「年間10億円前後」と明かし、世間の度肝を抜いたヒカルさん。内田さんも出演ドラマ「ダブルチート 偽りの警官」(テレビ東京系)がスタートし、才能あふれる若きカップル誕生には注目が集まっている。

 しかし、「ガッカリした」という声も少なくない。おそらくその理由は、ヒカルさんが交際相手として匂わせていた「超有名な女優」のイメージとの落差だろう。そして、そういう形で世間の耳目を集めるYouTuberと付き合う内田さんへの落胆もあるのではないだろうか。

さまざまな女優がとばっちりを受けた「超有名な女優」探し かつては松村沙友理さんもネタに……

 1月公開の動画で「超有名女優」と意気投合したと告白し、4月の「エミリンチャンネル」で恋人ができたとヒカルさんが明かした時、相手は誰なのかとネットは騒然となった。「テレビでもCMでも見てる」「顔がかわいすぎて、目が大きすぎる」と語ったため、広瀬アリスさんや今田美桜さん、生見愛瑠さんなどさまざまな女優の名前が臆測で飛び交う事態に。内田さんとの交際を認める動画で、この時の女優とは破局したとヒカルさんは明かしたものの、期待値を上げすぎた感は否めない。内田さんも確かに有名ではあるが、名前が挙がった面々と比べればちょっと知名度は落ちる。肩透かしを食らったという声も見受けられた。

 ただ内田さんに落ち度はない。むしろ彼氏の再生数稼ぎのネタとして、体よく使われてしまった被害者に見えてしまう。ヒカルさんは元乃木坂46の松村沙友理さんとの交際時も、彼女の名前を使った動画をアップしていた人である。ただ交際中に別のYouTuberによって浮気が暴露され、卑猥なやり取りをしていたLINEまでさらされてしまい、破局に至っている。

 けれどもヒカルさんがめげる様子もない。「超有名な女優」と初めて会った時も、一夫多妻制を支持していることや浮気癖についても明かし、お相手の反応も上々だったそうだ。「浮気がバレてバーキンを買って土下座っていう動画を撮りたい」と、実生活を切り売りすることに抵抗はないようである。

 ただ、そういうスタンスの男性と交際することは、クリーンなイメージが大事な女性タレントにとっては災難でしかない。ウエストランドのネタではないが、「警察に捕まる」配信者も出始めている。だからYouTuberとの交際が報じられても、女性側の事務所が公に認めることはこれまでほとんど無かった。本人だけでなく、周囲のYouTuberたちが面白がって追及する動画も数多いだけに、警戒するのは当然だろう。池田エライザさんや浜辺美波さんもYouTuberとの交際が報じられたことがあるが、事務所は「お友達」だという姿勢を崩さなかった。

 内田さんの事務所は、プライベートの質問については本人発信以外の回答はしないという方針だという。4月末の時点で、内田さんからの公式コメントはまだない。交際に関する情報ソースはヒカルさんの話だけということになる。情報の非対称性を逆手にとった「再生数稼ぎ」「ネットニュース化狙い」のようなヒカルさんのやり方に、内田さんに同情する声も集まっている。

人気者の価値は「面白さ」か「年収」か……粗品さん発言で論争が再燃したYouTuberとタレントの違い

 ヒカルさんのやり方への不快感はおそらく、4月12日放送の「酒のツマミになる話」(フジテレビ系)で議論を呼んだ、粗品さんの「YouTuberおもんない」コメントにも通じるだろう。実はこの話、昨年も炎上している。その時ヒカルさんやラファエルさんは、カジサックさんとのトークの中で「けんかを売るなら芸人のトップに売れ」「(俺たちより)稼いで(YouTuberを)黙らせろ」と粗品さんに怒っていた。

 この話が平行線なのは、テレビとYouTubeのルールが真逆だからだろう。千鳥の大悟さんが番組内でまとめた通り、テレビは自分のファン以外も含む「広く浅い」メディアだが、YouTubeはわざわざ自分のチャンネルを見に来る熱量を持った人向けの「狭く深い」メディアである。他人が設定したルールやフリに乗っからないと勝てない場所と、どれだけ人に迷惑をかけようが見てもらったもん勝ちの場所で、「面白い」基準がズレるのは当然だ。

 粗品さんが問うのは「他人が作った土俵上でも笑いを取れる芸の腕があるかどうか」であり、ヒカルさんの交際発表に世間がモヤっとするのは、「内田さんの事情を考えず、自分だけのルールにのっとって稼げればいい」と考えているように見えるからだろう。批判やアンチに対して多くのYouTuberが「お前より稼いでるし」と言うのは、彼らが従う唯一のルールは法律やモラルではなく、再生数=金であるということの証しでもある。

「お金が欲しいというよりは、もっと人気者になりたいというか、刺激的なことをしたい」と語っていたこともあるヒカルさん。でも今のまま円満に内田さんとゴールインしたとしても、双方にとってメリットは無いのではないだろうか。交際の内情を語るヒカルさんの動画再生数が増えれば増えるほど、内田さんのイメージはすり減っていく。

 愛を取るか金を取るか、ヒカルさんにも内田さんにも突きつけられている。次に「緊急」と称して配信されるのは、結婚報告だろうか。それともバーキンの山の中で、土下座する動画だろうか。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部