不審者が近隣を

 4月18日夜、6代目山口組と敵対する神戸山口組と2社連合を組む池田組(池田孝志組長、本部:岡山市)の副本部長の関係者宅に手榴弾が投げ込まれる事件が発生した。被害者が出ることはなかったが、現場の被害は甚大だったという。実行犯として名前があがった組織とは別に、池田組内の犯行も想定されているという。

 池田組の田中勇次副本部長の関係者宅(倉敷市)に手榴弾が投げ込まれたのは、4月18日午後10時すぎのこと。田中副本部長は事件前から不審者が近隣を往来していることを察知し、関係者には家を空けておくように指示していたようで、被害者が出ることはなかった。

 なかなか最近は聞かない手榴弾という手段を用いた犯人は逃走中。犯人が所属し、犯行を指示した組織として、4代目倉本組、2代目若林組(いずれも6代目山口組の2次団体)、そして3代目妹尾組(6代目山口組の3次団体、上部組織は5代目山健組)などの名が上がっているという。言うまでもなく、池田組と敵対する山口組側の組織ということになる。

内部抗争を指摘する声

 3代目妹尾組は以前に若頭が散髪中の池田組長を襲撃したことがあった。また、愛媛のスターバックスコーヒーでかつての舎弟を射殺したことで殺人容疑で逮捕された池田組の前谷祐一郎若頭が2代目若林組の幹部を狙っていたと報じられたりしたこともある。それなりに名前が上がる理由があるということなのだろう。

 その一方で、池田組における内部抗争を指摘する声もあるようだ。どんな組織でも多少のあつれきはあるのかもしれないと言ってしまえばそれまでだが、手榴弾を投げるような事態にまで行くとなると随分物騒な話だ。内紛の理由として取り沙汰されているのは、特に古参から「池田組長が若い連中を可愛がりすぎだ」などといった声が漏れている点だとされる。

「ここ最近、内部から、若頭代行や本部長を拝命した幹部に対する異議申し立ての声が上がっていると聞きました。池田組長が気に入ると毎月ある程度の“給与”が支払われる仕組みもあるのですが、逆に気に入られなければそのような恩恵にあずかることはできないとのことです」

 と、竹垣悟氏(元山口組系義竜会会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰)。

当局の圧力

 池田組はかねてリッチな組織として知られ、本部のある岡山市内中心地の土地を関連会社が所有し、そこからの収入だけでも月に1000万円はあるとされている。“給与”の原資には事欠かないということなのだろう。

 前出・前谷若頭は内部での意見の相違に対して重石として機能していたようだが、愛媛スタバ事件で不在の状況。これも分断に拍車をかけている可能性がある。
 警察当局もそういった揉め事のにおいをかぎとり、これに乗じて組織の弱体化を狙って、組員らに生活保護の手続きなどを説明してサポートすると同時に、「カタギになるように」と熱心に声かけをしているとされる。

 この声かけが奏功するか否かに注目が集まるが、内部であれ何であれ抗争に市民が巻き込まれることだけはごめん被りたいものだ。

デイリー新潮編集部