主婦から弁護士、そして政治家へ

 週刊新潮が捉えた、広瀬めぐみ参議院議員(57)とサックス奏者であるアンディ・ウルフ氏(56)の「赤ベンツ不倫」。その後、広瀬議員は地元・盛岡で記者団の取材に応じ、不倫について全面的に認めた上で謝罪したが、議員辞職や離党については否定した。その後も”幽霊秘書”疑惑が噴出するなど、有権者から厳しい目を向けられる広瀬議員の衝撃的なスキャンダルについて、改めて振り返る。(以下、「週刊新潮」2024年3月7日号をもとに加筆・修正しました。日付や年齢、肩書などは当時のまま)

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 自民党の広瀬めぐみ参議院議員、と聞いてすぐに顔や経歴が思い浮かぶ方は多くはないだろう。

 岩手県盛岡市出身の広瀬氏は専業主婦から弁護士、さらに政治家になったという異色の経歴の持ち主である。夫は盛岡第一高校の同級生で職業は弁護士。近くで見ていて「面白そう」と思い司法試験に挑戦、結婚の5年後に見事合格した。その前後に長男と長女をもうけている。

 参院選に挑んだのは2022年7月。岩手選挙区で、小沢一郎代議士の元秘書を破って初当選を果たした。「小沢王国」と呼ばれた岩手選挙区で自民党が議席を獲得するのは実に30年ぶりのことであった。選挙をバックアップした一人が、岩手選出で麻生派所属の鈴木俊一財務相。当選後、彼女も麻生派に入会している。

政治家になって1年余りで「エッフェル騒動」

 政界入りした約1年後、広瀬氏の名前が取り沙汰されることになったのは、残念ながら国会論戦や政策などを巡ってではなかった。

 昨年7月下旬、自民党女性局のフランス・パリ視察で、松川るい参議院議員(53)らがエッフェル塔の前で塔を模したポーズで撮った写真をSNSに投稿し、観光気分だと批判された騒動。この視察に参加していた広瀬氏もフランス料理のフルコースの写真をSNSに投稿し、非難されていたのだ。

 政治家になって1年余りでその資質に疑問符が付けられたわけである。あるいはいきなりつまずいた、というべきか。そんな広瀬氏が驚くべき“裏の顔”を見せたのは、「エッフェル騒動」の約3カ月後のことだった。

スキンシップを欠かさない二人

 臨時国会が始まった10日後の23年10月30日。議員会館を出た広瀬氏は、目立つ赤色のベンツを自ら運転して東京・青山に向かっていた。到着したのは午後7時半過ぎ。そこで彼女がピックアップしたのは、有名サックス奏者であるアンディ・ウルフ氏。

 ウルフ氏のマネジメント会社のHPによると、国籍はカナダ。〈17歳から既にプロとして活動を始め、モントリオールのマク(ママ)ギル大学において、クラシック作曲とジャズ演奏の学士号を取得〉とある。〈1992年の秋に東京に移り住〉み、福山雅治やaiko、DREAMS COME TRUE、Official髭男dismなど、そうそうたるアーティストのサポートを務めている。

 合流後、赤いベンツで移動した二人は渋谷区神宮前のレストランに入った。HPによると、本格的なBBQを堪能できる店とのこと。向かい合って座った二人は、注文した料理を待つ間、お互いの手を触り合う。ウルフ氏は笑みを浮かべ、広瀬氏もうっとりした表情だ。テーブルに並んだサラダなどを口に運ぶ二人は、時折思い出したようにお互いの手をさするような仕草を見せる。その広瀬氏の左手には、結婚指輪らしきものが光っていた。会計は彼女持ちだ。

 店を出て駐車場まで歩いて行く二人の様子も親密そのものだった。体を寄せ合い、かたく手をつないでゆっくり歩を進める。ウルフ氏が笑みを浮かべながら広瀬氏を見つめ、彼女もウルフ氏を見つめ返す。駐車場で広瀬氏が料金を支払っている間もウルフ氏は彼女の肩あたりに手を置くなど、スキンシップを欠かさないのだった。

赤いべンツは歌舞伎町のホテルへ…

 そんな二人が乗り込み、夜の街を走り出した赤いベンツが向かったのは、新宿・歌舞伎町にあるホテル。行き慣れているのか、迷ったり探したりすることなく、すんなりそのホテルの立体駐車場にたどり着いた。時刻は午後11時過ぎ。最上階のVIPルーム4室には露天風呂、プライベートガーデンが設えられている高級ホテルだ。

 フロントでスタッフとやり取りしているのはウルフ氏のほうだった。ところが、途中で広瀬氏を呼んでカードの暗証番号を押してほしい、といった素振りを見せていたので、結局、ここの支払いも彼女のほうだったのか。会計を済ませた二人は足早にエレベーターへと向かった。ウルフ氏は大きなリュックを背負い、キャリーケースを引っ張っていた。

ホテルから国会へ直行

 広瀬氏の赤いベンツがホテルの駐車場から出てきたのは翌31日午前7時15分だった。それから2時間弱が経過した頃、広瀬氏の姿は参議院予算委員会の席にあった。ホテルを出た時の彼女の格好は紺色系の草木柄のワンピースに紺色のジャケット。委員会でも同じ服装だったから、ホテルから国会に直行したに違いない。

 岸田文雄総理も質疑に応じたその委員会の席で、終始眠そうな様子だった広瀬氏。何度もあくびをし、目頭を押さえたりこめかみをもんだり座り直したりして、居眠りしないよう必死な様子だった。

デイリー新潮編集部