“あなたこそ日本を変えられる人だ”

 東京都知事選(7月7日投開票)で、一躍ネット上で話題になっている候補者が前安芸高田市市長の石丸伸二氏(41)だ。都知事選には初出馬ながら、各社の情勢調査でも優位とされている現職の小池百合子氏や蓮舫氏に続く支持を得ている。

 その石丸氏の応援団の中で注目されるのが、後援会長に就任したドトール創業者の鳥羽博道氏(86)である。石丸氏にとって強力な援軍には違いないが、一代で日本を代表するコーヒーチェーンを育て上げた鳥羽氏がなぜ石丸氏を支援しているのか。

「(石丸氏を知ったのは)たまたまYouTubeを見ていて知りました。それから毎日のように見るようになって」

 と語るのは鳥羽氏ご本人である。

「動画を見て、ちょっとエキセントリックすぎるのではないか、とも思う一方で、見ているうちに、メディアや地元議員を恐れず、ピシッと論破していく度量はすごいなと思いました」

 鳥羽氏はかねて日本の少子化と財政破綻に強く危機を感じていたという。そのため、優れた政治家を発掘したいという思いが強かった。

「以前から優れた指導者を見出して、その人を仲間と応援したいと考え、自分のビルにサロンを作り、政治家や財界の方を集めて議論をしてきたのです。そのような考え方をずっと持っていましたから、石丸さんのYouTubeを見て“あっ、この人だ”と思いました。この人は日本の政治を変えられる力を持っている、と。都知事選に出ると聞きまして、手紙を書き、“あなたこそ日本を変えられる人だ”“自分なりに支援をしたい”“もし東京に出てくることがあったら私のところに寄っていただきたい”と書いたところ、3週間ぐらい前ですかね、安芸高田の市長を辞職する前にこちらにお寄りいただいて、そこで初めて会ったのです」

「体一つで東京に来て」

 6月初旬に初めて会った時の印象は、

「私が15年前に取材を受けた日経新聞の『私の履歴書』を当時読んでいたようで、今回再び読まれて、“とても勇気づけられた”と話をされていました。石丸さんからすれば、ドトールコーヒーが多くの方に知られている企業ということもあって、その名前だけでも借りたいという気持ちはあったのだと思います。その時、“(選挙プランナーの)藤川晋之助さんが力になってくれるとありがたい”ということを石丸さんから言われました。僕は以前から藤川さんを知っていたので、藤川さんにすぐ連絡を取って、応援をしてもらうべくお話をしました。藤川さんは、僕から電話がいったことに驚いていましたが、“鳥羽さんが支援するということであれば、私も支援します”というようなことを言っていただきました」

 藤川氏は永田町でも、知られた存在だ。石丸氏には組織も何もなかったゆえ、藤川氏が陣営についたことはプラスに働いた。

「体一つで東京に来て、街宣車や事務所、ボランティアを募集する、といったことに対処するというのは、石丸さんだけじゃできませんよね。藤川さんがいなければ、石丸さんはとても選挙はできなかった。そして、陣営が動き始めると石丸さんに人が集まってきた。事務所を貸しましょう、街宣車を貸しましょう、という方や、ボランティアも含めて支援する人がどんどん集まってきて、今日のような状態になった」

『第二の明治維新』が起きる

 度々、X(旧ツイッター)でトレンド入りするなどネットでは熱狂的な人気を誇る石丸氏。鳥羽氏にはその人気がどう見えているのか。

「自分の意志を貫く。そういうところに大きな魅力があるのではないですか。若い人はそれぞれが正義感を持っていると思います。彼はその正義感に訴えるのが上手い。断じて妥協せず、自分の主義主張を通し、そして論破する。そうした姿勢が『半沢直樹』的な痛快さを感じさせるのではないかと思います。三菱東京UFJ銀行に勤め、アメリカにも駐在するという、それだけの実績を持っている人間が、今の政治家とは違う正論を吐いて、反発があっても一切妥協せずに論破していく。その姿に若い人が揺さぶられたんでしょうね。私はそう見ています」

 そして、選挙情勢についてはこう続ける。

「いままで投票に行かず、眠っていた有権者が目を覚ますんじゃないか、そして奇跡が起きるのではないか、と思っています。奇跡が起きれば、石丸さんは東京都議会を安芸高田市と同じように『見える化』するでしょう。すると、政治というものをみんなが身近に感じるようになってくる。それが国政にも影響を及ぼし、『第二の明治維新』が起きると私は皆に言っています」

 なお、石丸氏の選挙戦について、デイリー新潮では「注目の石丸伸二氏は街頭演説でどんな話をしているのか 選挙のプロは『支持者以外にはやや拍子抜けの印象』【都知事選】」で詳しく報じている。

デイリー新潮編集部