今月6日、神宮球場で行われたヤクルト対阪神戦の始球式。マウンドに上がったのは、五輪3大会連続でメダルを獲得した元卓球選手、石川佳純(31)だった。

「すぽると!デー」と銘打たれたこの日は、フジテレビがゲームスポンサー。折しも同局でパリ五輪スペシャルキャスターに選ばれた彼女の晴れ舞台だったのだが、観衆の目は彼女が投じた球よりその胸元にくぎ付けとなった。

 ユニフォームの柄はたしかにヤクルトのそれなのに、胸に大書されているはずの「Swallows」のロゴがないのだ。袖口の「Yakult」のロゴも見当たらない。

深まる謎

 なぜ彼女は出来損ないみたいな衣装で登場したのか。

 宣伝になるヤクルト側がロゴ使用を認めないわけがない。一般に始球式の衣装はゲームスポンサーが準備するものだというので、フジテレビに問い合わせるも、

「特にお答えすることはございません」

 謎は深まるが、スポーツ紙記者の見立てでは、

「佳純にはあまたの企業がスポンサーについています。いずれかがヤクルト本社と競合しているのでしょう」

 たしかに、彼女のスポンサーには、全農(全国農業協同組合連合会)を筆頭に、アシックス、エアウィーヴ、木下グループ、TOTO……とそうそうたる企業が名を連ねる。そのなかで“競合”といえそうなものといえば、食品大手の全農か、はたまた現在CMに出演している飲料メーカーのキリンビールか。ヤクルトは化粧品も製造しているので、資生堂の可能性もある。

 もっとも、

「どの企業も、始球式のユニフォームくらいで目くじらを立てることはありませんよ。今回のように悪目立ちしてしまいますしね」

「佳純側の忖度としか…」

 ではなぜこんなことになってしまったのか。

「佳純側の忖度としか考えられませんね」

 と先の記者が苦笑する。

「プロとしての地位が確立しているプロ野球やサッカーの選手たちは、企業と対等な関係にあるのですが、スポンサーがつきにくいマイナースポーツは過剰に企業に気を配る。卓球協会もしかりで、例えば国際大会出場前、私服で空港に来ても、取材の際はわざわざスポンサーのロゴが入った上着に着替えるんです。佳純は現役選手ではありませんが、引退して1年に満たないので、まだその感覚が抜けないのでしょう」

 石川のマネジメント会社にも尋ねたが、期限までに回答は得られなかった。

「週刊新潮」2024年4月18日号 掲載