今年の年初、各メディアのインタビューなどで「日経平均30万円時代」の到来を予測して話題となったのが、著者のエミン・ユルマズ氏だ。氏は、日経平均は2025〜26年に「5万円」を突破、2050年には「30万円」に達するような“黄金期”に突入していると指摘、個人投資家が新NISAの恩恵を最大限に受ける方法は「日本株」への投資だと話している(価格は紙版、税込み)。

■気になる第2章「最大の脅威・円安の長期化」、連続増配銘柄も70銘柄紹介

『無敵の日本経済! 株とゴールドの「先読み」投資術』(エミン・ユルマズ、大橋ひろこ著、ビジネス社、1760円)

著者のエミン・ユルマズ氏はトルコ・イスタンブール出身のエコノミスト、グローバルストラテジスト。16歳の時に国際生物学オリンピックで優勝。1997年に日本へ留学、東京大学工学部、同大学院を経て、2006年に野村證券に入社。投資銀行部門などを担当した後に退社、会社四季報や日経新聞を分析して投資ノウハウを提供する「複眼経済塾」の取締役・塾頭も務めた。なおもう一人の著者で聞き手として登場している大橋ひろこ氏は、自身も投資家であるフリーアナウンサーだ。

著書も多数あるユルマズ氏の新刊『無敵の日本経済! 株とゴールドの「先読み」投資術』は、タイトルからも分かる通り、株式とゴールドを投資対象として考える投資家に参考になる一冊だ。

投資に関するテクニックの指南ではなく、マクロ、長期の視点で世界や日本の経済がどうなっていくのか見通すための考え方が、データとともに記されている。

第1章の「新冷戦時代の敗者・中国の現実」から始まり、第2章は「最大の脅威・円安の長期化」に展開。ドル円が160円台に乗せた今、円安の行方が心配な日本人投資家は多く、気になる章と言えよう。

さらに第3章「日本株の時代と新NISA」を経て、第4章「米国株と日本株 どの分野が買いなのか?」ではこれから注目の投資テーマにも触れている。そして第5章「ゴールドと通貨を巡り世界はどこに向かうのか」では、ドル建てゴールドやETFなどを紹介。最後の第6章「個人投資元年」では、連続増配銘柄にも触れられている。

投資をしていると短期の上げ下げが気になり、流行に左右されてしまうものだが、マクロの視点を持っておくことは、一喜一憂せずに長期で投資、資産形成をする上で重要だ。

氏の語る内容が気になったら、YouTubeチャンネル「探究!エミンチャンネル」をあわせて見るとよいかもしれない。

文/編集・dメニューマネー編集部