(写真はイメージ/GettyImages)

「赤ちゃんはどこから来るの?」に答えられますか。日ごろから家庭で性教育を伝えるにはコツがあります。ポイントを産婦人科医の高橋幸子先生に聞きました。子育て情報誌「AERA with Kids」からお届けします。

■日常生活の言動から性教育は始まっている

 家庭での性教育にはコツがあります。何より大切なことは、親が動じないこと。

「子どもはふいに性について聞いてくることがあります。『赤ちゃんはどうやってできるの?』と聞かれたら、『コウノトリが運んでくる』などとごまかさず、受精の仕組みを科学的に説明しましょう」

 日ごろから子どもの意思を尊重し、大切な存在だと伝えることも性教育の一環です。

「性被害にあいそうな時に、『やめて!』が言えるようになるには、『自分の言葉には力がある』と思える積み重ねが大切です。子どもが『嫌』『やめて』といったら聞き入れましょう」

 性教育は日常会話の一つとして取り入れたいところですが、その前に親は自分の言動をチェック。

「何げない発言が、実は差別的だったり、古い価値観の押しつけだったりすることもあります。例えば『女の子なのに』などと性別で役割を決めつけるような発言は控えたいもの。親が標準体形なのに『やせたいなあ』などとぼやくのも、ルッキズム(外見至上主義)を肯定することになりかねないので避けたほうがいいですね」

■実践! 家庭で教えるときの4つのコツ

1.ごまかしたり、照れたりせず、 科学的に淡々と話す

 性教育をするときの口調は「科学的に淡々と」がポイントです。大人がごまかしたり、照れたりすると、子どもなりに察して「聞いちゃいけなかったのかな」と思うこともあります。どうしても話しにくかったら、動物に例えてもOK。あるいは「とても大事なことだから、少し調べてから必ず教えるね」と約束することをお勧めします。

2.「今のままで大切な存在」と伝え、相談できる関係性を育む

 思春期に入る時期の子どもは、自分と他人を比べて悩むことが増えます。テレビのアイドルを見て「あんなふうになりたい」と憧れる子どももいますが、「あなたは今のままで大切な存在」と伝えることは、重要な性教育です。子どもが自分の心と体を大切にすることにつながり、困ったときに親に相談できる関係性を育みます。

3.おふざけか本気かわからなくても 子どもの「やめて!」を尊重する

 遊びのつもりでくすぐりっこをしていても、子どもが「やめて!」と言ったらすぐに手を離しましょう。嫌がっているのにくすぐり続けるのは暴力の一つ。「NOと言っても無駄なんだ」という刷り込みになる可能性もあります。ふざけているのか、本気で嫌なのかわからなくても、「やめて」という子どもの言葉は尊重してください。

4.テレビで差別的な場面を見たら親子で一緒に考えるきっかけに

 性教育は特別な話題ではなく、日常会話の一部です。例えば、テレビのお笑い番組などで、性的マイノリティーの人を差別したり、人の外見を笑ったりする場面があったら、安易に受け流さないこと。「傷つく人もいるよね」「今の言い方、どう思う?」など、性について一緒に考えるきっかけにするといいでしょう。

(取材・文/越膳綾子)