ロケで北海道を訪れたクロちゃん。なぜ、クロちゃんは旅行が嫌いなのか(写真:本人提供)

 安田大サーカスのクロちゃんが、気になるトピックについて"真実"のみを語る連載「死ぬ前に話しておきたい恋の話」。今回のテーマは「旅行嫌い」。大型連休中には、普段なかなか行けない海外や県外へ旅行に行く計画をする人も多いだろう。しかし、クロちゃんは、幼少期の頃から旅行が嫌いだという。クロちゃんが旅行を楽しめない理由とは? トラウマになるほど悲しかった熱海旅行での大失敗も振り返る。

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 世間は、ちょうどGWの真っただ中。有給休暇などをうまく利用して10連休にしている人もいるみたいだね。ただ、ボクはこんなタイミングで旅行なんて絶対嫌だなー。旅行好きな人たちの気持ちに、水を差すようで申し訳ないんだけどボクは根っからの旅行嫌いなんだ(笑)。

 そもそもボクは、渋滞とか人混みがとても苦手。共感してくれる人も多いだろうけど、めちゃくちゃ疲れるんだよね。平日であっても疲れるのにそれがGW中って考えるとゾッとする。

 人気の観光地だったりすると、アトラクションに乗るために、あるいはカフェでコーヒーを飲むためだけに数時間も並ばないといけないこともあるみたいだし。そんなのボクには絶対無理だ。カフェって本来はのんびり休憩するために行くような場所でしょ? なのに、わざわざ長蛇の列に並ぶなんて本末転倒のような気がする。そんなの地獄だよ。みんなすごいよね。ボクには理解ができないしん。

 そのほかでも、宿泊先や飛行機の予約をしたり、観光地を効率よく巡るためにスケジュールを考えるのもめんどうでイヤ。というか、数時間かけて、渋滞や人混みをかきわけてまで、どうしても行きたい場所ってボクにはないんだよね。

 飛行機の予約の仕方だって、ボクにはさっぱり分からない。実は、ボクはこれまで飛行機のチケットを自分で購入したことが一度もないからね。もうこれは完全にお手上げ。いったい、どうやって取ればいいの?(笑)。海外に行く際に、機内で書かされる出入国カードも苦手だ。英語が全然読めないんだから何をどう書けばいいのか、いつもパニックになる。だから、日本語が通じない場所にも行きたいとはまったく思わない。

 宿泊先の予約にいたっては、過去に大失敗したことがあるから、もう完全にトラウマ。あれは、15年くらい前になるかな。当時付き合っていた彼女と熱海に初めて旅行をしたの。彼女にとにかく喜んでもらいたかったから、いろんな旅行サイトを見て、ボクなりにじっくり選んで、ある旅館に宿泊することに決めた。けっこう時間がかかって大変だったけど、雰囲気や価格のバランスもちょうどいい部屋だったから「これで彼女に喜んでもらえる」、そう思ったんだ。でも当日、旅館に着くと、とんでもないことが待っていた。

 用意された部屋は、旅行サイトで見た写真のような雰囲気はまったくなく、ボロボロで、汚くて、狭くて(四畳半くらい)、空気もなんだか湿っていた。旅行サイトの写真は、もうこの角度しかないっていう絶妙な場所から撮られていて、完全にだまされた気分だった。料理も貧素で全然おいしくなかったし、最寄り駅から旅館までは近いと書いてあったのに徒歩40分もかかった。

 あの薄暗〜い部屋に入った瞬間の、彼女の「うわっ」って困惑した表情……ボクは一生忘れないと思う。それでも、ボクを慰めるように、彼女は「二人で初めての旅行だから楽しいよ」っていってくれた。ボクは、男として情けなさすぎて、悲しかったね。

 改めて振り返ると、ボクの旅行嫌いは、子どもの時からすでに始まっていたように思う。家族旅行は何度かしたことはあるけど、「どこに行ったのか」「何をしたのか」などの詳細な記憶はほとんどない。きっと、全然楽しくなかったんだろうね。旅行中に、心の中で「家でゲームしていたほうが楽しかったな」って何度つぶやいたことか(笑)。

 渋滞、人混み、宿泊先・飛行機の予約、スケジュールの調整、観光地に興味がないなど、旅行って、ボクが前向きになれない理由が多すぎる。

 でも、よくよく考えると、普段から頻繁に仕事で全国各地に出かけているっていうのも前向きになれない大きな理由の一つかもしれない。つまり、仕事で、ある程度の旅行欲みたいなものが満たされているんじゃないかな。

ロケ中のクロちゃん(写真:本人提供)

 例えば、ボクの冠番組「レンタルクロちゃん」(RCCテレビ)のロケであれば、有名な観光地にも行くし、おいしいものも食べるし、雄大な景色を見ながら、温泉やサウナにも入る。いわゆる一般的な旅行の醍醐味(だいごみ)みたいなものが、すべて仕事に詰まっているんだよね。それに、仕事であれば、前述したような宿泊先・飛行機の予約、スケジュールの調整などの作業も、スタッフやマネージャーがやってくれる。不思議なもので、そういった負担がないと、観光地に行くのもけっこう楽しいんだ。そんなことを考えると、わざわざプライベートで、めんどくさい作業を全部自分でこなしてまで、旅行にいくなんてのが、なんだかバカバカしく思えてしまうのかも(笑)。ボクの旅行嫌いもなかなか根深いね。

 ただ、そんなボクでも、リチとの旅行だけは、めんどくさい作業もすべてやってあげたいと思っているんだよ。リチがまだ行ったことのないと言っていたユニバーサルスタジオジャパンにも、いつかは連れて行ってあげたいし。それに、いざとなったら、たかみな(高橋みなみ)に協力してもらえば、なんとかなるはず。リチー、ふたりっきりの旅行、絶対実現させるから楽しみにしててねー!

(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)

写真:本人提供