早春になると、各地の酒蔵で「酒蔵開き」が行われます。新酒が振る舞われたり、イベントが催されたりとその内容はさまざま。大分県に多数ある酒蔵を、この機会に訪れてみませんか?
県内外に名を馳せる、おなじみの名蔵へ
麹と発酵文化を学べる、
米と麦、ふたつの蔵〈辛島 虚空乃蔵〉
本格麦焼酎〈いいちこ〉を製造・販売する宇佐市の〈三和酒類〉が手がける、麹や発酵文化を体験できる施設〈辛島 虚空乃蔵(からしま こくうのくら)〉。蔵出しの日本酒やクラフトビールを味わうことができ、「識る・感じる・愉しむ」の体験をとおして、酒づくりの文化や発酵の魅力を身近に感じることができます。
敷地内は清酒醸造場及び売店を有する「米の蔵」と、発泡酒醸造場と飲食スペースのある「麦の蔵」に分かれ、日本酒の醸造体験も可能(無料、平日のみ1日2組限定で各5名まで)。
ここで醸造されている、搾りたての日本酒〈和香牡丹 輪奏〉や、本格焼酎〈西の星〉に使用される大麦〈ニシノホシ〉の麦芽を使用したクラフトビール〈KOKU NO CRAFT〉など、ここでしか買えない限定酒もあるので、お土産にもおすすめです。
address:大分県宇佐市辛島4-3
tel:0978-32-1432
access:宇佐ICから車で約8分、JR柳ヶ浦駅から車で約10分
営業時間:10:00〜17:00
定休日:水曜、お盆、年末年始
web:三和酒類 辛島 虚空乃蔵
明治から続く、甘い辛いを超越した
旨い日本酒を〈萱島酒造〉
明治6年創業、「一麹・二酛(にもと)・三造り」という基本を大切に、昔から続く三段仕込みの酒づくりをしている国東市の〈萱島酒造〉。〈西の関〉という名で知られる日本酒を製造しており、純米酒や吟醸酒など種類もさまざま。両子山と文殊山からの伏流水を仕込み水として使用したお酒は、旨みがあり喉ごしもスッキリとしています。
精米所だった蔵を改装した〈SAKE GALLERY 東西〉では、定番品や季節品の試飲もできるのでハンドルキーパーを連れて訪れて。お酒のほかにも、西の関のオリジナルグッズなども並んでいます。大分空港が近いのでお土産の購入にもオススメですよ。
address:大分県国東市国東町綱井392-1
tel:0978-72-1181
access:大分空港から車で約10分
営業時間:9:00〜16:00
定休日:不定休(HPにて要確認)
web:西の関 萱島酒造
有名醤油蔵の前身でもある
城下町の酒蔵〈小手川酒造〉
1855年(安政2年)より一貫して手づくりにこだわった酒づくりをする臼杵市の〈小手川酒造〉。古くは酒づくりの閑散期に味噌・醤油を製造、これが九州を中心に全国でも知られる〈フンドーキン醤油〉の前身となっているのです。
黒麹焼酎や麦焼酎〈白寿〉、清酒〈宗麟〉などを製造。土蔵の中には、500リットルほど入るという巨大なかめがズラリと並んでいます。黒麹仕込みの焼酎が入っており、1987年のものから貯蔵されているそう。無料で見学ができ、事前の申し込みも不要なので、気軽に立ち寄ってみましょう。試飲もできるので、飲み比べて味の違いを楽しんでみるのもオススメです。
address:大分県臼杵市臼杵浜町538
tel:0972-62-3335
access:JR臼杵駅から車で約5分
営業時間:8:30〜17:00
定休日:無休
web:小手川酒造
食事にスイーツ…酒蔵“+α”も楽しめる蔵
江戸時代から変わらない、
品質を重視した酒づくり〈クンチョウ酒造〉
1702年に建てられた蔵を活用しながら、手づくりにこだわった酒を販売する日田市の〈クンチョウ酒造〉。地元の農家から仕入れる〈ヒノヒカリ〉を中心に〈五百万石〉、〈山田錦〉などそれぞれのお米の特徴を最大限に生かした酒づくりを行っています。また、ミネラルたっぷりの日田の天然水を使用することで、口当たりがよく、しっかりとした旨みを感じることができます。
併設のショップ〈薫長酒館〉では日本酒の〈大吟醸 瑞華〉や無添加の甘酒など、人気商品から季節限定まで幅広い商品が販売され、すべて試飲が可能。お土産やプレゼントにもオススメです。また、酒を使ったスイーツもあり、酒粕入りのパンやノンアルコールの「甘酒ソフトクリーム」を販売するカフェスペースも備えているので、ぜひ訪れてみてください。
address:大分県日田市豆田町6-31
tel:0973-22-3121
access:JR日田駅から車で約5分
営業時間:9:00〜16:30
定休日:無休
web:クンチョウ酒造
伝統をつなぎチャレンジを続ける酒蔵
〈中野酒造〉
銘酒〈智恵美人〉で知られる杵築市の〈中野酒造〉は、創業150年を迎えた昨年、蔵を改装し、新たにイベントキッチンスペースを新設。
6代目蔵元である中野淳之さん自身が蔵に入り、一から手がけたという純米酒〈ちえびじん〉は、なめらかな口あたりの仕込み水が生む、やさしい甘みとキレイな酸味が特徴で、ワイングラスが似合うお酒として多くのファンから愛されています。フランスで開催された日本酒品評会「KURA MASTER 2018」で最高位に選ばれたのにも納得です。
さらに、同市の日本酒酒場〈芳の芽〉とコラボした〈酒粕パウンドケーキ〉がふるさと納税の返礼品として話題に。米、麹、酵母由来の栄養を豊富に含んだケーキの、ふわっと香るちえびじんの風味としっとりした食感をぜひ堪能してください。
address:大分県杵築市南杵築2487-1
tel:0978-62-2109
access:杵築ICから車で約3分
営業時間:9:00〜17:00
定休日:日曜
web:智恵美人×ちえびじん 中野酒造
大分の酒どころ・豊後大野市の蔵を訪ねて
豊後大野市では2024年3月16日(土)に日本酒蔵、焼酎蔵全4か所で試飲やおつまみが楽しめる「巡蔵(めぐるくら)」を開催。大分県きっての酒どころ、豊後大野の蔵を、今回は2か所ご紹介します。
名瀑の近くで生まれる、
完全手づくりの味〈浜嶋酒造〉
「東洋のナイアガラ」の呼び声高い「原尻の滝」そばにある〈浜嶋酒造〉。くじゅう連山の主峰・久住山系から流れる軟水を使って仕込まれる酒は、1889年(明治22年)創業以来、多くの人に親しまれています。
米づくりも自社で行い、代表銘柄〈鷹来屋〉をはじめとする酒には〈山田錦〉や〈吟のさと〉〈若水〉〈大分三井〉といった自家産米を原料としています。これらの酒は酒蔵で購入できるので、ぜひ手に取ってみてください。
また、2023年には「食を通じて“発酵”の魅力をより多くの人に知ってもらいたい」という思いから、蔵の向かいにレストラン〈Takakiya Garden SASARA〉をオープン。さまざまな発酵メニューが味わえるのでこちらにもぜひ。
address:大分県豊後大野市緒方町下自在381
tel:0974-42-2216
access:JR緒方駅から車で約5分
営業時間:9:00〜18:00(Takakiya Garden SASARA 11:00〜17:00)
定休日:無休(Takakiya Garden SASARA 月〜木曜 ※祝日は営業)
web:鷹来屋 浜嶋酒造
伝統の麦焼酎と、
挑戦のクラフトビール〈藤居醸造〉
素材の旨み、香り、風味……麦の「あるがまま」を引き出す麦焼酎の蔵〈藤居醸造〉。フラッグシップ〈特蒸泰明〉をはじめ、キレがよくさっぱりとした飲み口で幅広い料理に合う〈泰明〉、原料から醸造まで地元にこだわった、オール大分県産の〈トヨノカゼ〉、大分県産の南高梅を特蒸泰明に漬け込んだ〈梅萬〉など、バラエティ豊かなラインアップ。
2022年からは新たにクラフトビールづくりにも着手。ペールエール、IPA、ラガーなどを生産しています。敷地内にビアホール〈FUJII BREWERY〉も併設しており、注ぎたてのビールのほか、地元のハムなどもおつまみとして味わえます。窓の外に広がる、のどかな田園風景を眺めながらの一杯は格別ですよ!
address:大分県豊後大野市千歳町新殿150-1
tel:0974-37-2016
access:中九州横断道路「千歳IC」から車で約5分
営業時間:9:00〜17:30(FUJII BREWERY 11:00〜17:00)
定休日:無休(FUJII BREWERY 月〜木曜)
web:藤居醸造
各地のさまざまな蔵の味を楽しんで
各蔵の伝統と手間ひま、そして魂がこもったお酒。その工程や味わいは千差万別です。ぜひお気に入りの一本を探してみてください。酒蔵を訪ねる際は、ハンドルキーパーに同行してもらうことをお忘れなく!
*価格はすべて税込です。
credit edit:シティ情報おおいた編集部