古民家やレトロな建築って不思議ですよね。その場にいるだけでホッと心が落ち着き、時間もゆっくり過ぎていきます。銀行、医院、はたまた銭湯と、元の姿はさまざま。大分市の戸次(へつぎ)地区のように、昔ながらのまち並みを残すエリアもあります。

今回は、そんな古い建物を利活用し、人気を博すカフェをピックアップ。どのお店も唯一無二の場所ばかり。雰囲気たっぷりのカフェを『シティ情報おおいた』がご紹介します。

古き良きまち並み、戸次を行く

和洋の文化が入り混じる
唯一無二の空間〈桃花流水〉

〈桃花流水〉の内観
洋風の家具やインテリアと漆喰の壁が調和する不思議な空間。

蔵として利用されていた建物の1階を洋館に改装したのが1916年(大正5年)。当時の最先端であった洋風モダンなテイストに加えて、職人たちの丁寧な手仕事が光る和洋折衷の空間がつくられました。ステンドグラスをはめ込んだ上下窓から陽の光が差し込む店内に、鮮やかな深紅のじゅうたん、重厚感のあるテーブルやイスが余白を持たせて配置されています。

二段重で提供される「元気が出る発酵ごぼう弁当」
「元気が出る発酵ごぼう弁当」3080円。持ち帰り2376円もあります。

食事の定番メニューは、戸次産のゴボウを主役に据えた「元気が出る発酵ごぼう弁当」。重箱の中には昔ながらの素朴な家庭料理が色彩豊かに盛られており、どれも県産食材の魅力を存分に味わうことができます。食後にはオリジナルの「富春館ブレンドコーヒー」を片手に、ゆったり過ごすのもオススメです。

Information
レストラン 桃花流水
address:大分県大分市中戸次4381
tel:097-597-7676
access:大分米良ICから車で約10分
営業時間:11:30〜15:00
定休日:月・火曜 ※祝日の場合は営業、翌日休み
web:帆足本家 富春館

華やかな前菜もうれしい! 予約必至の人気ランチ
〈hitoyoshi カフェとレストランのあいだ〉

〈hitoyoshi カフェとレストランのあいだ〉の店内

歴史的まち並みが残る戸次本町に佇む人気のイタリアン。2023年8月にオープン。築100年の古民家を改装したおしゃれな空間は、幅広い層に評判で、いまや数か月先までランチの予約が埋まるほどの人気です。

前菜の盛り合わせとパスタ、ドルチェやコーヒーもつく「日替わりランチセット」
「日替わりランチセット」2200円(要予約)。

ランチタイムは、「戸次ごぼう」をはじめ、地元産や季節の食材を存分に取り入れた「日替わりランチセット」1種類のみ。前菜の盛り合わせから、オイル系、トマト系、クリーム系の中から選べるパスタ、自家製のフォカッチャ、ドルチェに食後のコーヒーまで……。趣向を凝らした内容と色彩豊かな盛りつけに心が躍ります。

入口の暖簾の前に立つ店主の萌子さん
戸次本町の情緒あるまち並みになじむ、白い暖簾が目印。

ランチの営業後は店主の萌子さんが担当するドルチェのセットが楽しめるカフェタイムに。生花やドライフラワーがセンス良く配された古民家の温もりをじっくりと堪能して。

Information
hitoyoshi カフェとレストランのあいだ
address:大分県大分市中戸次4402-3
tel:097-502-4887
access:大分米良ICより車で約10分
営業時間:11:30〜15:00(13:30L.O.) ※要予約
定休日:木曜、ほか不定休
Instagram:@hitoyoshi1029

モーニングからランチ、こだわりのコーヒーも
築100年以上の古民家で〈カフェ ワンシーン〉

〈カフェ ワンシーン〉の外観
戸次本町の歴史あるまち並みの一角にある。

戸次の歴史的なまち並みのなかに昨年オープンした古民家カフェ。昔は銀行だったという築100年以上の建物をリノベーションしており、昔の面影を残しつつも、中はコーヒーの香り漂う明るい空間です。

フルーツとカスタードクリームのワッフルセット
「フルーツとカスタードクリームのワッフルセット」1000円。

大分市出身の店主・土井久雄さんはコーヒーを中心に扱う食品会社に勤務。その後、大阪でカフェを10年営み、念願のUターンを機に、戸次のまち並みにひと目惚れをしてこの地に店を構えました。

大阪に根づいていたモーニング文化を大分にも普及させたいと、朝8時から営業。日替わりの豆で淹れる「本日のオススメコーヒー」は、蒸気圧で浸漬(しんし)する昔ながらのサイフォン式で淹れており、柔らかくスッキリとした味が特徴的です。

「本日のプレートランチ」。この日はカレー
「本日のプレートランチ」(スープ、サラダ、デザート、ドリンク付き)990円。

ランチは、サンドイッチやカレー、ハンバーグなど喫茶店を思わせるようなメニューがそろい、2階には子どもが遊べるスペースもあるので子連れでも安心です。日常の“ワンシーン”を少し贅沢に彩ってみてはいかがでしょうか?

Information
カフェ ワンシーン
address:大分県大分市中戸次4358-2
tel:097-576-7707
access:JR中判田駅から車で約5分、大分米良ICから車で約15分
営業時間:8:00〜20:00(モーニング8:00〜11:00/ランチ11:00〜14:30)
定休日:火曜
駐車場:2台(ほか共有P利用可)

技ありリノベが光る「元○○」のカフェ

湯のまちに違和感なく溶け込む、元医院のカフェ
〈ここちカフェ むすびの〉

天井が高い〈ここちカフェ むすびの〉の店内
まちに溶け込むレトロなつくり。窓からは心地いい日が差し込む。

泉都・別府の代名詞ともいえる、鉄輪(かんなわ)温泉の湯けむりがたなびく風景。そんな風情たっぷりの場所にあるのが〈ここちカフェ むすびの〉です。1908(明治41)年に医院として建てられた建物が、約100年の時を経て、2011(平成23)年にカフェに生まれ変わりました。外観からも店内からも、往時の面影を感じ取ることができます。

せいろに入った蒸し野菜もついた「むすびのランチ」
食材の旨みを引き出した「むすびのランチ」1650円。

そんな空間で味わえるのは、低温スチーム調理法や50℃のお湯洗いなど、下ごしらえにひと手間もふた手間もかけた料理。ランチは肉や魚、野菜といった素材本来のおいしさが味わえます。手づくりの素朴なおやつ、ドリンクなども揃うので、ゆっくりと過ごしてみましょう。朝ごはんは予約が確実です。

Information
ここちカフェ むすびの
address:大分県別府市鉄輪上1組
tel:0977-66-0156
access:JR別府大学駅から車で約7分
営業時間:7:30〜10:30(9:30L.O.)、11:30〜18:00(ランチ14:30L.O.、17:00L.O.)
定休日:木・金曜 ※繁忙期は営業
Instagram:@kannawa.musubino

地元で愛された銭湯がカフェ&ギャラリーに再生
〈アートスペースカフェ大蔵清水湯〉

〈アートスペースカフェ大蔵清水湯〉のカウンター席
洗い場をカウンター席、浴槽をテーブル席に改装。

1957(昭和32)年から20年以上、竹田の城下町で銭湯として使われていた建物がカフェ&ギャラリーとしてリニューアル。オーナーを含め地元住民の希望から、タイルや蛇口、窓や浴槽など、店内のいたるところに銭湯の面影が残ったレトロな雰囲気を楽しめます。

配膳用のもろぶたで提供される「野菜たっぷり小鉢ランチ」
「野菜たっぷり小鉢ランチ」1650円。

120年以上前の配膳用のもろぶたで提供される無添加ランチは、メインが肉と魚から選べ、煮物や和え物など地元の新鮮な野菜をたっぷり使った約10品の小鉢が並びます。どの料理もやさしい味つけでどこか懐かしい気持ちに。

2階席もある〈アートスペースカフェ大蔵清水湯〉の内観

また、2階にはライブなどイベントにも活用されているギャラリーがあり、オーナーが趣味で集めた調度品も並びます。食後にゆっくりと鑑賞するのもオススメです。

Information
アートスペースカフェ大蔵清水湯
address:大分県竹田市竹田町507
tel:0974-63-3321
access:JR豊後竹田駅から徒歩約10分
営業時間:11:30〜16:00(15:00L.O.)
定休日:不定休

夏に訪れたい! 名物かき氷が味わえる店

土蔵カフェでいただく
手づくりシロップのかき氷〈Cafe 凡と凛〉

〈Cafe 凡と凛〉の店内
明治初期に建てられたという土蔵は、やさしい色合いの白壁や高い天井が印象的。

臼杵市にある国登録有形文化財〈稲葉家下屋敷〉の敷地内にある土蔵を改装した〈Cafe凡と凛(ぼんとりん)〉。関東でイタリアンのパティシエとして腕を磨いた店主・佐藤尚子さんが手がけるスイーツを楽しめる城下町の人気店です。

〈Cafe 凡と凛〉のかき氷2種類
手前から「ベリーベリー」、「レモンジンジャー」各880円。

特に夏場にオススメなのが、天然水の氷を削り、地元で採れた果実でつくる、手づくりシロップが自慢のかき氷。練乳とイチゴのコンフィチュール、フレッシュなブルーベリーが爽やかさを演出してくれる「ベリーベリー」や、輪切りレモンをトッピングした「レモンジンジャー」などを提供しています。かき氷にジェラートを追加して「白くま」風に楽しめるのも魅力。

築150年以上の土蔵が醸し出す趣を感じながら、ふわっと溶けていくかき氷の幸せな甘さを堪能しましょう。

Information
Cafe凡と凛
address:大分県臼杵市臼杵6-6 臼杵藩主稲葉家下屋敷
tel:090-6924-7358
access:JR臼杵駅から徒歩約15分
営業時間:9:30〜16:30
定休日:木曜
Instagram:@bon_to_rin

DIY空間で味わう、器まで愛でたいかき氷
〈陶 cafe しきろ庵〉

〈陶 cafe しきろ庵〉の外観
緑いっぱいの場所に、カフェ兼工房兼自宅として空き家をリノベーション。

のどかな中津市耶馬溪(やばけい)の風景に惚れたという末安さん一家が移住して開いた〈陶 cafe しきろ庵〉。陶芸家でもある心太さんは作陶に向く場所を探しており、奥さんの真由美さんもまた、子育ての環境について考えていた時期だったそう。自分たちの手で改修したという築90年ほどの古民家はどこかホッとする、無国籍な雰囲気。周囲の自然ともうまく調和しています。

〈陶 cafe しきろ庵〉の「塩ミルク金時」
「塩ミルク金時」1000円(練乳付き)。対馬産の藻塩が味を引き締める。

名物はシロップから手づくりする夏限定のかき氷。20種類以上と豊富なメニューが魅力で、「塩ミルク金時」や「甘酒ブルーベリーミルク」など、趣向を凝らしたものばかり。器はもちろん心太さんの手によるもの。山深く、夏でも適度に過ごしやすい耶馬溪で味わうかき氷は格別ですよ。

Information
陶 cafe しきろ庵
address:大分県中津市耶馬溪町金吉862
tel:090-7927-3161
access:耶馬溪山移ICから車で約5分
営業時間:12:00〜17:00(16:30L.O.)
定休日:火・金曜 ※冬季(12〜2月)は火〜金曜(営業は土・日・月曜)
Instagram:@shikiroan

レトロな雰囲気でゆったりくつろいで

いかがでしたか? これら以外にも、県内各地に古民家やレトロ建築を活用したお店はたくさんあります。外観や店内なども雰囲気たっぷりで、きっと写真を撮りたくなるはず。また、味わえる料理やスイーツ、ドリンクなどもこだわり満点。ぜひ足を運んでみてくださいね。

*価格はすべて税込です。

credit edit:シティ情報おおいた編集部