日本のゴルフは男女ツアーとも長年にわたり大きな日程の変更はありませんが、欧米ではフレキシブルにスケジュール変更が行われています。

自動車レースのF1日本グランプリ春開催が好評だった

 4月5〜7日に開催された女子プロゴルフトーナメント「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」をインターネット配信のDAZN(ダゾーン)で視聴しようとしたところ、トップ画面に「FORMULA1 2024第4戦MSCクルーズ・日本GP」と表示されていて驚きました。自動車レースのF1日本グランプリが毎年開催されていることは知っていましたが、開催時期は秋が定番だったからです。

国内ツアーのスケジュールは毎年定番化している
国内ツアーのスケジュールは毎年定番化している

  モータースポーツファンであれば、今年から春開催になることをだいぶ前から知っていたのでしょうが、筆者はゴルフファンなのでまったく知りませんでした。

 開催時期が秋から春に変更になった理由を調べたところ、2つの理由が挙げられていました。1つ目は周辺国で連続して開催することで、移動時に発生するCO2(二酸化炭素)の排出量を抑えるためです。2024年のF1はバーレーンで第1戦が開幕し、第2戦がサウジアラビア、第3戦がオーストラリアでした。そして第5戦が中国ですから、第4戦を日本で開催すれば5戦目まで中東・オセアニア・アジアでの開催となり、移動距離が少なくなります。

 2つ目の理由は天候です。日本グランプリが開催されていた9月下旬〜10月上旬は台風の接近にともなう悪天候でレースが中断になることが多く、春に移行することで穏やかな気候の下でレースが開催されることが期待されていました。そのもくろみ通り4月5〜7日は好天に恵まれ、1週目のクラッシュによる中断はあったものの、レースは無事に終わりました。史上初の春開催は大成功だったようです。

 ゴルフの世界もツアーのさらなる発展や改良を目指して毎年のようにスケジュール変更が行なわれています。男子ゴルフは2018年まで8月開催だったメジャートーナメント「全米プロゴルフ選手権」を2019年から5月開催に変更しました。

 これにより4月から7月までメジャートーナメントが毎月開催されることになり、PGAツアーの年間王者を決めるプレーオフシリーズへの流れがスムーズになりました。女子ゴルフも2013年からメジャートーナメントに昇格した「エビアン選手権」を9月開催に移行したり7月開催に戻したりしながら、最良のツアースケジュールを模索しています。

ゴルフもグローバルの変化に柔軟に対応したほうがいい

 一方で、日本のゴルフは男女ツアーとも長年にわたって大きなスケジュール変更はなく、定番化しています。今のスケジュールが最良なのであれば別に今のままでもいいと思うのですが、個人的には改良の余地があると感じています。

 男子ツアーは近年、DPワールドツアー(欧州男子ツアー)との連携を深めているわけですから、日欧共催の試合をもっと増やしたほうがいいと思います。同ツアーは今や欧州・アジア・中東・アフリカ諸国のナショナルオープンを転戦するツアーになっており、それならば「日本オープン」をDPワールドツアーに組み込むためにはどうしたらいいか本気で考えてほしいところです。

 女子ツアーに関しても、LPGAツアー(米国女子ツアー)のメジャー第1戦「シェブロン選手権」が、「オーガスタナショナル女子アマチュアゴルフ選手権」の開催に配慮して時期を4月中旬に移し、開催コースもザ・クラブatカールトン・ウッズ(テキサス州)に変更になりました。そうなってくると、国内メジャー第1戦の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」が5月第1週開催のままでいいのか検討の余地があります。

 かつてはLPGAツアー(米国女子ツアー)のトップクラスが招待選手として参戦していましたが、コロナ禍以降はめぼしい選手が出場していません。「ワールドレディスチャンピオンシップ」と名乗るからには、世界のトップ選手たちが出場しやすいように配慮する必要があるのではないでしょうか。サッカーのJリーグがヨーロッパ主要リーグのスケジュールに対応して2026〜27年シーズンから秋春制に移行することを正式決定したように、ゴルフもグローバルの変化に対応して、国内のスケジュールを柔軟に動かせるようにしておいたほうがいいと思いました。

保井友秀