9日に開幕する「コグニザント・ファウンダーズカップ」でツアー新記録となる「出場6試合連続優勝」に挑むネリー・コルダ。そこで、米女子に限らず様々なツアーの連勝記録について調べてみました。

米男子の記録はバイロン・ネルソンの11連勝

 米女子ツアータイ記録である出場5試合連続優勝を続行中のネリー・コルダ(米国)が、9日開幕の「コグニザント・ファウンダーズカップ」で新記録の6連勝に挑戦する。では、ほかのツアーではどれくらいの連勝記録があるのだろうか。中にはこの先も破られないであろう驚がくの記録も存在する。

 まず紹介したいのが、米男子ツアーが誇る大記録だ。その記録は何と11連勝である。

タイガー・ウッズと握手を交わすバイロン・ネルソン 写真:Getty Images
タイガー・ウッズと握手を交わすバイロン・ネルソン 写真:Getty Images

 成し遂げたのはバイロン・ネルソン(米国)。1945年の3月から8月にかけて勝ち続けた。

 当時は戦争の最中で「マスターズ」や「全米オープン」、「全英オープン」は中止になっているがツアーは再開されていた。

 連勝が始まったのはダブルスの試合である3月の「マイアミフォアボール」。4月の「アトランタオープン」まで5連勝を飾った。ここから約2カ月試合がなかったが、再開後はまたも連勝街道を突き進む。7月の「全米プロ」で9連勝。さらに2試合連続で勝って11連勝という恐るべき記録をつくりあげたのだ。

 この偉業の背中に少しだけ迫ったのがタイガー・ウッズ(米国)である。1999年から2000年にかけて当時歴代2位タイとなる6連勝をマーク。2006〜07年には自己記録を更新する7連勝を果たしたが「WGC−アクセンチュアマッチプレー選手権」の3回戦で伏兵のニック・オハーン(オーストラリア)に延長の末に敗れて記録が止まった。ウッズをもってしてもネルソンの記録には遠く及ばなかったのである。

 日本の連勝記録はどうか。男子ではツアー制度が施行された1973年以降の記録は3連勝となっている。

 計9例あり、うち4例が3週連続優勝、1例が年をまたいでの3試合連続優勝、残りの4例が欠場をはさむ出場3試合連続優勝である。

 この9例のうち、実に5例は尾崎将司が1人でマークしたもの。あとはグラハム・マーシュ(オーストラリア)、謝敏男(台湾)、青木功、片山晋呉が1例ずつだ。

国内女子では樋口久子が6連勝した記録もある

 女子は公式ウェブサイトによると1988年のツアー制度施行後は3連勝が記録で全美貞と鈴木愛の名前が記されている。

 ただし、この2例は3週連続優勝で、欠場をはさんだ出場3試合連続優勝をマークしている福嶋晃子と宮里藍の名前は記載されていない。また、参考記録ではあるが、かつて年に1、2回来日していたアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が2002年から2005年にかけて出場5試合連続で勝った例がある。

シェブロン選手権で出場試合5連勝を飾ったネリー・コルダ 写真:Getty Images
シェブロン選手権で出場試合5連勝を飾ったネリー・コルダ 写真:Getty Images

 女子の公式ウェブサイトにはツアー制度施行前の記録として樋口久子の4連勝が取り上げられている。ただ、この記録は単一年に限ったもの。米男女ツアーや日本男子ツアーは年をまたいでも連勝が続くという取り扱いだが、日本女子ツアーはそれを認めていないようだ。

 年をまたいだものまで含めれば樋口は1968〜70年に6連勝、1970〜71年に5連勝を記録している。

 大きな記録に挑む時、周囲の注目や期待は自ずと高まってくる。そして、それが選手にとって重荷になることもある。

 連勝が止まった時の心情をネルソンは自伝で、解き放たれて楽になったというように表現している。それくらい、メディアやファンからの期待がプレッシャーになっていたそうだ。

 樋口からは第1回大会から勝ち続けていた「日本女子プロ」の連覇が7で途切れた時の気持ちを聞いたことがある。それは「悔しさはありましたが、ずっと背負っていた重い荷物から解放された感じでした」というもの。「勝ってあたり前」と見られること、「勝たなければならない」という重圧は相当なものがあったというのだ。

 コルダも同様のプレッシャーを人知れず感じているかもしれない。まして、現在5連勝で並んでいるのが米女子ツアー最大級の人気選手だったナンシー・ロペス(米国)と、最強といえるくらいの実績を残したアニカ・ソレンスタムという超ビッグネーム2人だから注目度はより高まるはず。新たな歴史を刻めるか、コルダの挑戦を楽しみにしたい。

宮井善一