コロナ特需や女子プロゴルフの人気上昇などに伴い、ゴルフは再び若い世代の間でも注目を集めつつあります。「ゴルフ人口が増えた」ともいわれる昨今、それによってゴルフ場のニーズも拡大しそうですが、今夏以降のプレー料金はどうなるのでしょうか。

プレー料金は例年通りか若干上がると予想

 ここ数年、女性や若い世代の間でもゴルフを始めたり興味を持ったりする人が増えました。コロナによる3密回避が容易な点や、女子プロゴルフの人気拡大、日本人選手の海外進出への注目など、理由はさまざまです。

今夏以降のプレー料金はどうなる? 写真:AC
今夏以降のプレー料金はどうなる? 写真:AC

 さらに「しばらく減少傾向にあった国内のゴルフ人口も増加した」ともいわれていますが、それによってゴルフ場に対するニーズが高まり、プレー料金にも何らかの影響があるのでしょうか。

 今年の夏以降のプレー料金は例年と比べてどうなるのか、ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように予想します。

「個人的な予想にはなりますが、今年の夏は例年通りか若干上がるのではないかと思います。その理由はいくつか考えられますが、ひとつはコロナによるゴルフブームの余波がまだ残っているから、という点が挙げられます」

「コロナ渦以降、新規で始めた人と久しぶりに再開した『休眠復活ゴルファー』を合わせると、日本のゴルフ人口は70〜80万人ほど増えたといわれています。アフターコロナでゴルフから離れてしまった人も一定数いますが、本格的な趣味として今でも続けている人もいます」

「また、ゴルフ場にラウンドしに行くのは『週末』というのが定番ですが、最近のゴルフ場はニーズの増減に沿う形で料金を柔軟に変動させる『ダイナミックプライシング』を取るのが一般的です。そういった背景を加味しつつ、週末にゴルフ場に行く人はコロナ渦以前よりも若干増えていると仮定します。そうすれば、プレー料金は例年通りか少し割高になると考えるのが妥当でしょう」

利用者が増えるのは嬉しい反面、経費も増大している?

「一般社団法人『日本ゴルフ場経営者協会』が行った調査によると、2024年1月度における全国のゴルフ場利用者数は前年の同月比で4.3%の増加。さらにコロナによるパンデミック前の2020年1月と比べても、9.1%の増加が見られたそうです。さらに、ゴルフ場運営会社大手のPGMでも2023年10〜12月の来場者数が前年同期間比で1.8%増加。2019年の同期間比では、16%も増加したと報告しています」

「この内、コロナ以降にゴルフを始めた人の割合がどの程度か割り出すことはできませんが、ゴルフ場を利用する人ひいては国内のゴルフ人口は、大きく減少しているわけではないことが読み取れるでしょう」

 なお、飯島氏は「酷暑が常態化してきている中、夏場にプレーをするのは避けたいと考えている人もいますが、ゴルフ場側もクーラー付きのカートを導入したり、氷嚢(ひょうのう)などの熱中症対策グッズを提供したりしているため、料金設定に弱気になることはあまりないだろう」とも話します。

「酷暑や物価高の影響は、夏の暑さに弱いベントグリーンの普及やスプリンクラーをはじめとした散水設備の導入価格の上昇といったコース管理にも及んでいます。コース管理を専門とするスタッフの減少が重なっていることからも、プレー料金の値上げに踏み切る可能性が十分に考えられるでしょう」

 ゴルフ場の現場では、今年の夏はどのように予想しているのでしょうか。全国でゴルフ場を運営する、株式会社東急リゾーツ&ステイの広報担当者は以下のように話します。

「世間的にも物価高や人件費の高騰が叫ばれている影響から、弊社のゴルフ場も総じて料金を少し上げざるを得ないと考えています。ただ、あまりにも上げ過ぎるとお客様も離れていってしまうので、およそ500〜1000円程度の値上げに留めるか、直前に下方修正する可能性もあるかもしれません」

「ちなみに、弊社でもコロナ渦によって数%の来場者数増加が見られました。しかしコンペのような大人数で行うイベントの需要が減ってしまったため、通常営業では人数は増えましたが、収入面ではあまりコロナ前と変わらないという結果になりました」

 日本のゴルフ場業界は「需要はキープもしくは微増傾向にはあるものの、高品質なコースを常に提供できるようにするには費用が年々かさんでいる」のが現状といえます。来年も同じような状況が続くとすれば、プレー料金の値下げはまだまだ先になるかもしれません。

ピーコックブルー