能力はあるのに性格がヤバい…?

 優れた能力や人格のキャラには兄弟がいることが多い。特に魅力的なキャラの兄が登場する際は、どれほど魅力的なキャラなのか期待が高まるものだ。しかし、中には「兄なのにマジ?」と読者をがっかりさせるキャラも存在する。本記事では、『週刊少年ジャンプ』(集英社)作品の、残念すぎる兄キャラ3選を紹介しよう。

○ラディッツ
『ドラゴンボール(DRAGON BALL)』(作:鳥山明)に登場するラディッツは、主人公・孫悟空の兄である。とある惑星の侵略を計画する彼は、悟空に侵略を協力させるために地球を訪れる。

 コミックス17巻で描かれたエピソードでは、侵略への協力を拒否した悟空に対し、悟空の息子・悟飯を人質に取って、地球人100人の死体を用意するという脅迫まがいな残虐行動をとる。戦闘では、サイヤ人の弱点である尻尾を悟空に握られた際に「たったひとりの兄を殺す気か」と命乞いをして騙し討ちをする卑怯っぷりが印象的だ。戦いの後半では、怒りを爆発させた悟飯の一撃を食らった後、悟空に捕らえられた際にも懲りずに命乞いを繰り返す始末。悟空もろともピッコロの魔貫光殺砲に貫かれて死亡するが、最後まで兄らしい振る舞いのない人物だった。

 性格の卑劣さや、2度も命乞いをする惨めな姿から、SNS上では「これでもかってくらい残念すぎる兄」「小物感がすごい」と散々なコメントが寄せられている。

○戸愚呂兄
『幽☆遊☆白書』(作:冨樫義博)に登場する敵キャラ・戸愚呂兄弟の兄は、体を自在に武器へと変形させて戦う「武態」という能力や不死身レベルの再生能力を持つ。戦闘力は高いが、他人の死を笑ったり、心の傷をえぐる発言をしたりと、性格の悪さが目立つ人物だ。暗黒武術会編の終盤(第102話)では、行き過ぎた挑発から味方である戸愚呂弟に見限られ、粉砕されるほどである。

 魔界の扉編(第138話)では、新たに身につけた他人の心を読む能力によって、主人公・浦飯幽助の仲間である蔵馬を挑発する。激怒した蔵馬により、脳が壊れるまで幻覚を見せ続けるという「邪念樹」を植え付けられ、永遠に幻覚に苦しみ続ける結末を迎えた。蔵馬からは「お前は死にすら値しない」と捨てゼリフまで言われる始末である。

 読者からも「私利私欲すぎて同情の余地がない」「クズすぎて死ねなくても同情できない」など、救いようのない性格を揶揄(やゆ)されている。

○ジャギ
『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)に登場するジャギは、北斗四兄弟の三男で主人公・ケンシロウの兄にあたる人物だ。ケンシロウが北斗神拳継承者と決まったことに納得できず彼を襲ったものの、顔の秘孔を突かれて顔面が歪んだため、常にヘルメットをかぶっている。このエピソードだけでも強烈だが、その後もケンシロウに対して卑劣な行動を繰り返している。

 ジャギのエピソードが描かれたコミックス5巻を見ると、「胸に7つの傷を持つ男」として英雄視されるケンシロウの評判を落とすため、自分の胸にわざと7つの傷をつけ、ケンシロウのフリをして悪事を働く。また、ケンシロウの恋人であるユリアをシンが拉致するときも、誘ったのはジャギだった。

 卑劣きわまりないジャギだがSNS上では「欲望に忠実な感じが好き」との声も見られ、意外にも読者の人気を得ているようだ。ちなみに原作者の武論尊氏も、ジャギが好きなキャラだと明言している。徹底した卑劣さは、強烈な個性が魅力となっているのかもしれない。

 兄だからといって完璧である必要はないものの、弟と比べて悪い部分が目立ってしまうこともある。今後も登場するであろうジャンプ作品の兄キャラにも注目していきたい。カキMONO.1