生活保護は、生活が困窮しているときに一定の要件を満たした人が利用できる制度です。   「住宅ローンの支払いが厳しく、生活も成り立たない」というときに申請を検討される方も多いと思いますが、生活保護は住宅ローンが残っている状態でも申請できるのか、確認しておいた方がよいでしょう。   本記事では、生活保護制度の目的や、住宅ローンが残っていて生活が困窮しているときの対処法についてもご紹介します。

生活保護制度の目的とは?

生活保護は、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。厚生労働大臣が定める基準で計算される「最低生活費」に収入が満たない場合に、その差額が支給される仕組みです。
 
生活保護は以下の8種類の扶助に分けられており、それぞれ最低限度の生活を送るために必要な分が支給されます。


・生活扶助:日常生活に必要な費用
・教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
・住宅扶助:アパートなどの家賃
・医療扶助:医療サービスの費用
・介護扶助:介護サービスの費用
・出産扶助:出産費用
・生業扶助:就労に必要な技能の修得などにかかる費用
・葬祭扶助:葬祭費用

 

住宅ローンが残っていても生活保護は受けられる?

厚生労働省によると、住宅ローンが残っていることで生活保護を受給できないということはないようです。
 
しかし、生活保護で支給される扶助の中に「住宅ローンの返済」に充てる費用は含まれておらず、受給した保護費で住宅ローンを返済することは生活保護の趣旨に反すると考えられ、原則として認められていません。
 
そのため、住宅ローンが残っていると生活保護の受給対象にならないケースが多いようです。ただし、住宅ローンの完済までの期間が短期間であり、ローン支払額も少額の場合は、住宅ローンが残っていても生活保護の受給が認められることがあります。
 

住宅ローンがあり生活が困窮しているときはどうすればいい?

住宅ローンが残っている間は生活保護の受給対象にならないケースが多いため、生活に困ったときは家を売却することを検討しなければなりません。家を売却したお金で住宅ローンを完済できない場合は、債権者の合意を得て売却する「任意売却」を選択することになるでしょう。
 
売却後に買い手との間に賃貸契約を結び、そのまま賃貸物件として住み続ける「リースバック」という制度を利用すれば、住む家を失わずに済む可能性があります。
 

住宅ローンが10年残っている場合は生活保護を受けられない可能性が高い

生活保護は生活に困窮している人が最低限度の生活を維持できるよう、必要な保護を行う制度です。支給される扶助の中に「住宅ローンの返済」に充てられる費用は含まれていないため、原則として住宅ローンが残っている場合は生活保護を受けられないケースが多いです。
 
完済までの期間が短期間であれば受給できる可能性がありますが、10年の場合は難しいと考えた方がよいでしょう。家の任意売却を検討するなど、経済的に苦しい状況から抜け出す方法を考えてみることをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 「生活保護制度」に関するQ&A Q.10 住宅ローンがありますが、生活保護を受給することはできますか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー