家庭の状況は十人十色であり、0歳児の子どもを保育園に預けて共働きをする家庭もあれば、ずっと専業主婦(夫)でいる家庭もあります。それぞれがさまざまな事情を考慮しながら決めていることであり、どれが正解という話ではありません。ただ、同じ家庭状況の人で共働きではないとなると、年収が気になってしまうのも人のさがでしょうか。   本記事では、持ち家、子ども2人、車2台の片働き家庭の年収を逆算してみたいと思います。

住宅ローン4000万円の返済額

まずは住宅ローンの年間返済額を計算します。借入額は4000万円、借入先はマイナス金利解除による金利高騰を考慮して、固定金利で返済期間が35年の「フラット35」を選択したものとし、年利は2024年4月時点で最も低い1.82%とします。この場合の返済額は月々約13万円(ボーナス払いなし)、年間で約155万円になります。
 

子ども2人にかかる教育費

子どもには食費などの生活費や学校などにかかる教育費などさまざまなお金がかかりますが、これらは日々の生活費の中に含まれていくので、本記事では生活費とは別途で貯金しなければならない大学への進学費用を計算します。
 
日本政策金融公庫の調査によると、大学への入学費用の平均は81万円、在学費用は1年間で149万円となっており、4年間で677万円かかる計算です。国公立大学であればこれより少なくてすみますが、国公立でも私立でも行けるようにしておいてあげるには約700万円の貯金が必要になります。
 

車2台にかかる費用

車の購入費、ガソリン代、自動車税種別割、車検代について1年あたりの金額を計算してみましょう。車は購入費200万円の軽自動車と購入費用400万円の普通車のミニバンを1台ずつ、10年おきに新車で買い換えるものとします。
 
・車の購入費
 
(200万円+400万円)÷10年=60万円
 
・ガソリン代
 
車必須のエリアでそれぞれ月1万円、計2万円とします。
 
2万円×12ヶ月=24万円
 
・自動車税種別割
 
軽1万800円+普通車(総排気量1.5リットル超〜2リットル以下)3万6000円=4万6800円
 
・車検代
 
平均して15万円とします。
 
・合計
 
60万円+24万円+約5万円+15万円=約104万円
 

必要な年収はいくら?

最後に、月々の生活費の上に前記3つの費用が加わっても生活できる年収を計算してみましょう。
 
総務省統計局による家計調査によると、2人以上の世帯における消費支出の平均額は、約29万円となっています。年間にすると約29万円×12ヶ月=約348万円なので、これに約104万円をプラスすると約452万円になります。年収に対する手取りの割合を75%とした場合、年収は約600万円となります。
 

まとめ

持ち家4000万円、子ども2人、車2台の生活を片働きで維持するためには、最低でも年収600万円必要なようです。ただ、本記事の計算は収支ギリギリの年収です。教育費以外の貯金はできない点に注意しましょう。貯金したうえで家族旅行なども楽しみたい場合には、あと数百万円は必要でしょう。
 
「え! 働くの!? 」とビックリされるほどであれば、このママ友の家庭の年収は優に1000万円は超えているのかもしれませんね。
 

出典

住宅金融支援機構 住宅ローン:長期固定金利住宅ローン【フラット35】
株式会社日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
総務省 自動車税・軽自動車税種別割
東京都主税局 自動車税種別割
総務省統計局 家計調査報告 ―月・四半期・年―
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士