タンス預金として、家の中に110万円以上の貯金がある人は少なくないでしょう。タンス預金は、金額やお金の出どころによっては、贈与税や相続税の対象になります。ここでは、タンス預金が課税対象となる条件や、注意したいポイントなどを解説します。

金額とお金の出どころを把握しよう!課税される・されないの条件は?

タンス預金で貯めた金額、また、そのお金はどのようにして貯まったものでしょうか。金額やお金の出どころによって、タンス預金は贈与税や相続税の対象となります。子どもの頃から長年かけて貯めてきたお金なのか、それともパートナーとの生活費からこっそり回していたお金なのかによっても異なるのです。
 
「自分のお金」でないなら、場合によっては贈与税や相続税の対象になることもあります。例えば、家の中に両親や祖父母からもらったお年玉の現金「100万円」が眠っていたとします。この場合、申告の必要はなく、心配することはないでしょう。しかし、110万円以上の祝い金をもらった場合、家の中にしまっておけば大丈夫かというと、そうではありません。
 
また、夫や妻から受け取った生活費の一部をこっそりタンス預金に回していたケースはどうでしょうか。生活費は贈与の意志をもって渡されたものではないので、贈与とはみなされません(民法第549条)。贈与とみなされない「相手からもらったお金」は、相手のお金として扱われます。自分で家計費をやりくりしている場合でも、自分のお金ではなく、あくまでパートナーのお金を管理していることになるのです。
 
贈与税は1年間に110万円を超える贈与があった場合に課税されます。110万円以下のタンス預金であれば、そもそも控除枠を超えないので贈与税はかかりません。また、祝い金や見舞金としてもらったお金も、社会的相当性の範囲内であれば贈与税は非課税となります。
 
ただし、注意しなければならないのは、控除額が贈与をした人ごとに年間110万円ではなく、すべての贈与の合計で110万円であることです。例えば、同じ年に両親から100万円、親戚から30万円の贈与があった場合、合計で130万円となり贈与税がかかります。
 

タンス預金はバレることもある! 3つの加算税とは?

税務署は、贈与者の銀行口座を過去にさかのぼって調査することが可能で、大金が絡んでいれば、その出入金をチェックすることは容易です。仮に目を付けられて税務調査が入れば、自宅内にあるタンス預金も明らかにされるでしょう。
 
万が一、申告が必要な財産を自宅に保管していることが発覚すれば、本来納めるべき金額に加えて延滞税や3つの加算税が課されることになります。3つの加算税とは、申告を怠った場合の「無申告加算税」、納付すべき税額を少なく申告した場合の「過少申告加算税」、意図的な隠蔽(いんぺい)や脱税をした場合の「重加算税」です。多額で悪質と判断された場合、懲役または罰金に処されることもあるので、注意が必要です。
 

タンス預金はほどほどにしよう

いざというときのために数十万円程度ならタンス預金しておいてもよいかもしれませんが、金額が大きくなる場合は別の管理方法を考えたほうが安心です。
 
納税の心配はもちろんですが、空き巣など防犯上のリスクや火事・地震といった天災もいつ起こるか分かりません。必要な納税はきちんと済ませ、余分な現金は保管しないようにしましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.9205 延滞税について
財務省 身近な税 Q&A 〜身近な税について調べる〜
財務省 加算税の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー