かわいい孫のために、自分の年金からお祝いのお金を渡している人もいるのではないでしょうか。誕生日やクリスマスだけでなく、入学祝いなども含めれば負担が大きく、かぎられた年金のなかからまかなうのが難しいと考える人もいることでしょう。   また、お祝い金を渡すタイミングが重なれば、孫破産となることがあるかもしれません。   本記事では、孫に渡すお祝い金の内訳の一例をはじめ、渡す費用相場を解説します。年金の受給額の実情や年金額を増やすために検討したい方法、「孫破産」にならないための対策もまとめているので参考にしてみてください。

孫へのお祝い金の内訳と渡す費用の相場

孫へ渡すお祝い金には一般的にどんなものがあるのでしょうか。お祝い事の種類と費用の相場は以下のとおりです。
 

・出産祝い:3〜10万円
・お宮参り:5000〜1万円
・お食い初め:1〜5万円
・初節句:5000〜10万円
・誕生日祝い:1〜2万円
・七五三祝い:1〜3万円
・入園祝い:5000〜1万円
・入学祝い(小学校、中学校):1〜3万円
・入学祝い(高校、大学):1〜5万円
・大学入学祝い:1〜5万円
・成人祝い: 1〜10万円
・就職祝い: 3〜5万円
・結婚祝い: 5〜10万円

 
孫が誕生してから、さまざまなタイミングでお祝い金を渡す機会があるでしょう。孫の親である自分の子どもとの関係性によって、お祝いの金額は異なるケースもありますが、上記の相場を見ると孫1人あたりに70万円程度が必要な計算となります。
 
また、お祝い金に加えてお小遣いやお年玉を渡す場合は、さらにお金がかかるでしょう。お祝いはあくまでも気持ちなので、自分の生活に無理のない範囲内で渡すことを心掛けてみてください。

 

年金の受給額はどのくらい?

年金の受給額は、令和6年度の国民年金が月額6万8000円(満額受給の場合)です。
 
厚生年金は、被保険者期間や標準報酬月額によって異なるものの、厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均は月額14万4982円(65歳以上の男性:16万7388円、65歳以上の女性:10万9165円)です。孫へのお祝いが頻繁ではないにしても、まとまった金額を工面しなければならないのは事実なので、負担は大きなものでしょう。

 

厚生年金の被保険者期間が長ければ年金額を増やせる

厚生年金の被保険者期間が長く、かつ給与額が高ければ受け取れる年金額を増やすことが可能です。将来的に受け取れる厚生年金は、被保険者期間と加入期間中の給与で決まります。
 
孫へのお祝い金を渡すほかに、老後資金に備えるために多くの年金を受け取りたいと考える人は、可能なかぎり厚生年金の被保険者として長く就業できるように働き方を検討してみてください。

 

「孫破産」にならないための対処法

せっかく年金をもらっても、孫へお祝い金をあげすぎていたら「孫破産」になるリスクを高める一方です。孫破産とは、その名のとおり孫への出費が重なった結果、経済状況が破綻することを意味します。孫破産となり自分の老後資金が尽きないためにも、事前にルールを決めるなどしてお祝い金を渡しましょう。
 
孫破産にならないための対処法は、以下のとおりです。
 

・事前に決めた予算内で管理する
・孫の親に経済状況を伝えて理解してもらう

 
以下で、対処法別に解説します。

 

事前に決めた予算内で管理する

事前に孫に渡すお祝い金の予算を決めて、その金額の範囲内で管理してみてください。その際に年間ではなく、1ヶ月単位にしておけば予算を使い切ることを避けられるでしょう。また、孫が複数人いる場合は、まとめてではなく1人ずつの予算を設定しておくと管理が曖昧になりません。

 

孫の親に経済状況を伝えて理解してもらう

年金で孫のお祝い金をまかなうのが難しい状況であれば、孫の親である自分の子やその配偶者に現在の経済状況を伝えてみてください。経済状況を正直に伝えないことで「祖父母はお金に余裕がある」と親が思い込んでしまうことも想定できます。
 
状況を理解してもらえば、お祝いをしつこく要求してくることも回避できるでしょう。

 

孫破産にならないように適切な金額をお祝いとして渡そう

かわいい孫にはイベントごとのたびにお祝いを渡したいと考えるのは、祖父母として一般的な考えかもしれません。しかし、かわいい孫だからといってたくさんのお金を渡していれば、毎月の年金を使い尽くすだけでなく、今後の老後資金まで失ってしまう可能性が高いです。
 
孫破産になってからでは、立て直すのはそう簡単ではないでしょう。事前に孫に渡すお祝い金の予算を決めておく、孫の親に年金からお祝い金をまかなうのは難しいという思いを正直に伝えることを検討してみてください。

 

出典

厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー